内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に見るソウルと韓国:朝鮮戦争参戦の豪州
2017-05-06 Sat 11:24
 ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』4月14日号が発行されました。今回は、私事ながら、メルボルン滞在中に見聞したことも含めて、こんな切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      オーストラリア・朝鮮戦争50年

 これは、2000年にオーストラリアが発行した朝鮮戦争50周年の記念切手で、北緯38度線近辺の戦場風景と、国連軍参加のオーストラリア兵に授与された従軍記章が取り上げられています。

 さて、メルボルン滞在中、僕は、市内の戦争慰霊館も見学してきました。(下の画像は慰霊館前の“永遠の炎”から慰霊館の外観を撮影したものです)

      メルボルン・戦争慰霊館外観
      
 戦争慰霊館はメルボルンの街並みが一望できる小高い丘の上にあり、周囲は広大な公園になっています。もともと、第一次大戦でのオーストラリアの戦没者を祀る慰霊施設でしたが、後に第二次大戦の戦没者や、さらに、朝鮮戦争ヴェトナム戦争の戦没者も祀られるようになりました。

 内部には、オーストラリアが歴史的に体験してきた戦争に関する資料が展示されており(その中心は、なんといっても両大戦ですが)、朝鮮戦争についても小さいながら、きちんとコーナーも設けられていました。

 第二次大戦後、オーストラリアは対日戦勝国として、広島県・山口県など中国地方を中心に占領軍を派遣していましたが、1950年6月25日の朝鮮戦争勃発を受け、同29日、オーストラリア政府は、日本に駐留していたリバー級フリゲート艦「ショールヘイブン」ならびに香港に駐留していたトライバル級駆逐艦「バタアン」の派遣を決定します。

 朝鮮近海に到着した両艦は、韓国から避難する米英の民間人を収容するとともに、米軍の上陸を支援するための艦砲射撃を行いました。ちなみに、朝鮮戦争における豪海軍の中核となった空母「シドニー」がオーストラリアを出港したのは、8月31日のことです。

 一方、空軍に関しては、1950年6月25日の開戦時、岩国に駐留していた第77飛行中隊は帰国の準備を進めていましたが、開戦により、米第5空軍の指揮下に入り、共産軍と戦っています。

 ところで、オーストラリア政府は、日本に駐留していた地上部隊、第3連隊を朝鮮の戦場に派遣することに、当初、難色を示していました。当時の第3連隊は、兵員の訓練・装備ともに、直ちに実戦に投入するには、きわめて不十分な状態にあったからです。このため、まずは第3連隊の中から志願者2000名が日本占領軍から分離され、朝鮮半島に派遣されるとともに、オーストラリア本国でも志願兵の募集が行われました。オーストラリア本国から集められた兵士たちは、広(広島県呉市)および原村(広島県安佐郡:現広島市安佐南区)で訓練を受けた後、朝鮮半島へと派遣されています。

 オーストラリア軍の戦績としては、まず、1950年9月15日の仁川上陸作戦以後、水原周辺で敗走する朝鮮人民軍と戦い約2000名を捕虜としたことが挙げられる。さらに、10月22-23日には開城の包囲戦で朝鮮人民軍に大きな打撃を与えました。

 また、中国人民志願軍参戦後のオーストラリア軍と共産軍との戦闘としては、1951年4月22-25日の加平の戦いと同年10月3-8日の馬良山の戦いが知られています。

 結局、1953年7月の休戦まで、オーストラリア軍はのべ2万8000名の兵力を朝鮮戦争に投入。334名が戦死しています。

 なお、戦争慰霊館では、展示の最後に、各戦争の従軍記章(とそのレプリカ)がずらりと並べられており、その中には、今回ご紹介の切手に取り上げられた記章もしっかり含まれていました。(下の画像)

      メルボルン・戦争慰霊館(従軍記章) 

 なお、オーストラリアと朝鮮戦争とのかかわりについては、拙著『朝鮮戦争』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 
 
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 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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