内藤陽介 Yosuke NAITO
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 コンゴ民主共和国20年
2017-05-17 Wed 10:59
 1997年5月17日、ザイールのモブツ独裁政権が倒れ、(第2次)コンゴ民主共和国の樹立が宣言されてから、きょうで20年です。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      コンゴ民主共和国・モブツ(1966)

 これは、(第1次)コンゴ民主共和国時代の1966年に発行されたモブツ大統領の肖像切手です。

 現在のコンゴ民主共和国の領域はかつてはベルギーの植民地でしたが、1960年にコンゴ共和国として独立。しかし、同年、隣接する旧仏領の国もまったく同名の“コンゴ共和国”として独立したため、両者はそれぞれの首都の名を冠して、旧ベルギー領の国をコンゴ・レオポルドヴィル、旧仏領の国をコンゴ・ブラザヴィルと呼ぶなどして区別されていました。

 旧ベルギー領のコンゴ・レオポルドヴィルでは、1960年の独立当初から(第1次)コンゴ動乱が始まり、各派入り乱れての内戦状態に突入しますが、そうした中で、1964年8月1日、隣国のコンゴ・ブラザヴィルと区別するため、コンゴ・レオポルドヴィルの国名は(第1次)コンゴ民主共和国に変更されました。

 翌1965年11月、第1次共和国では、国軍参謀総長のモブツが軍事クーデターを起こして大統領に就任します。今回ご紹介の切手は、これを受けて発行されたもので、切手に描かれたモブツの肩書は“コンゴ民主共和国大統領”です。

 政権を掌握したモブツは独裁体制を確立し、植民地遺制を排除する“ザイール化政策”を展開。自らの名前をジョセフ・デジレ・モブツからモブツ・セセ・セコに改名したほか、首都レオポルドヴィルをキンシャサと改称し、1971年には国号をコンゴ民主共和国からザイールに変更しました。

 モブツ政権は、東西冷戦という国際環境を利用し、アフリカにおける“反共の砦”として西側諸国から巨額の支援を引き出していましたが、海外からの経済支援や国内の鉱山資源などの利益は、モブツとその一族が大半を着服。ザイール国家はモブツ一派の私物化され、経済は衰退します。1965年からモブツが退陣する1997年までの間に、同国のGDPは65%も減少。国民は貧困にあえぎ、中央政府の地方統制も緩んで、反政府勢力は首都キンシャサから離れた東部を拠点に活動を展開するようになりました。
 
 一方、ザイールの隣国ルワンダでは、1994年4月、フツ人過激派によるツチ族大虐殺が始まります。大虐殺は、同年7月に収束しましたが、この間、150万人もの難民が国境を越え、ザイール東部に流入。“難民”の中には、大虐殺の加害者であるフツ人過激派の残党もかなり含まれていましたが、モブツは彼らのルワンダ侵攻計画を支援。このため、ルワンダ政府は対抗上、ザイール東部の難民キャンプの解体、さらには、不安定要因の根源であるモブツ政権の打倒を目指すようになります。

 こうした中、1996年8月、モブツは前立腺癌治療のためスイスの病院に入院しましたが、そのタイミングを狙って、ルワンダの支援を受けたバニャムレンゲ(1960年以前からザイールに居住していたツチ人とその子孫)の大規模反乱が発生。モブツの長期独裁政権への不満から、ザイール国民が反乱勢力を支持する中、同年10月、人民革命党のローラン・カビラひきいるコンゴ・ザイール解放民主勢力連合 (AFDL) がツチ人の軍事力を背景にキンシャサに向かって進撃を開始します。周辺のルワンダ、ウガンダ、アンゴラ、ブルンジもそれぞれの思惑からAFDLを支援し内戦に介入しました。これが、いわゆる第1次コンゴ戦争です。

 混乱の中、モブツは南フランスでの静養を理由に帰国せず、AFDLはザイール全土の約4分の3を制圧。これを受けて、米英仏や国連は調停工作に乗り出し、1997年5月7-8日、ザイール情勢を協議するための“中部アフリカ仏語諸国7ヶ国首脳会議”がガボンで開催されます。ここで、モブツは“健康上の理由”で次期大統領選挙には出馬しないことを約束。同月16日、キンシャサに戻ったモブツは引退を発表し、翌17日、AFDL軍がキンシャサに入城してカビラは“(第2次)コンゴ民主共和国”の樹立を宣言し、モブツのザイール共和国は崩壊しました。ただし、現在でも、旧仏領のコンゴ共和国との区別が容易という理由から、コンゴ民主共和国に関しては“旧ザイール”と併記するケースがしばしば見られます。


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