内藤陽介 Yosuke NAITO
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 空飛ぶ国王
2017-05-18 Thu 19:36
 オランダのウィレム・アレクサンダー国王が、きょう(18日)付の地元紙『テレグラフ』で、即位後も含め、これまで21年間、KLMシティーホッパー航空(KLMオランダ航空の子会社)のパートタイム副操縦士を秘密裏に務めていたことを明らかにしました。同航空では現在、国王が操縦してきたフォッカー70を段階的に廃止しているため、国王は、近々、後継機のボーイング737の訓練を始め、今後も副操縦士としての搭乗勤務を続ける意向だそうです。というわけで、パイロット姿の国王を描いた切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ルーマニア・カロル2世即位10年

 これは、1940年6月8日、ルーマニアで発行された国王カロル2世即位10周年の記念切手のうち、パイロット姿の国王を描く32レウ切手です。

 カロル2世は、1893年、ルーマニア国王フェルディナンドと王妃マリア(ザクセン=コーブルク=ゴータ公アルフレートの長女)の長男として、ペレシュ城で生まれました。
 
 若い頃から派手な女性関係で有名で、1918年には、当時のルーマニアの王室法に反して平民女性のジョアンナ・マリー・ヴァレンティナ・ランブリノ(ジジ・ランブリノ)という平民女性と結婚。このため、2人の間にはカロルという子が生まれたものの、翌1919年には結婚を無効とするイルフォヴ裁定が下されます。

 その後、1921年には、ギリシャ王女エレーニ(エレナ・ア・ロムニエイ)と結婚したものの、カロルがユダヤ系ルーマニア人でカトリック教徒のマグダ・ルペスクと不倫関係になったことから、エレーニとの結婚生活はすぐに破綻。このため、カロルは王位継承権を放棄してマグダとパリに亡命し、1927年7月、エレナ王妃との子、ミハイが国王として即位しました。その後、1928年、カロルの離婚が正式に成立しますが、この間、カロルは高校生の愛人、マリア・マルティーニとの間に一男一女をもうけていました。

 ところが、1930年6月、カロルは突如帰国し、息子のミハイを退位させ、自分が国王であると宣言。以後、政治にも自ら関与して独裁体制を強化していきますが、1939年に第二次大戦が勃発すると、独ソ不可侵条約の密約に基き、ハンガリーがトランシルヴァニアに進駐。さらに、ソ連がルーマニア領ベッサラビア北ブコヴィナを併合するなど、ルーマニアは多くの領土を失いました。このため、今回ご紹介の切手が発行されてから3カ月後の1940年9月6日、カロルは退位を余儀なくされ、ミハイが父親のしりぬぐいをするかたちで復位しました。

 廃位されたカロルは、中立国のポルトガルに亡命。亡命先では、持ち出した財宝を売って贅沢三昧の生活を送っていましたが、1947年、マグダとリオデジャネイロで結婚。1953年、ポルトガルのエストリルで亡くなりました。その遺体は、民主化後の2003年、ルーマニアに返還され、クルテア・デ・アルジェシュ修道院に再埋葬されています。

 なお、カロル2世時代のルーマニアについては、拙著『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』でもいろいろとご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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