内藤陽介 Yosuke NAITO
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 おかげさまで 12周年
2017-06-02 Fri 10:35
 おかげさまで、2005年6月1日にこのブログをスタートさせてから、12年が過ぎました。日頃、このブログを応援していただいている皆様には、あらためて、お礼申し上げます。 というわけで、きょうは額面12のこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)(画像はクリックで拡大されます)

      ブラジル・コルコヴァードのキリスト像50周年

 これは、1981年にブラジルが“コルコヴァードのキリスト像50周年”を記念して発行した12クルゼイロ切手です。

 ブラジルの通貨は、もともとはレアル(複数形はレイスもしくはヘアイス)が使われていましたが、インフレの昂進により、1942年、1/1000のデノミにより新通貨クルゼイロが導入されました。さらに、1967年には1/1000のデノミにより新クルゼイロが導入されますが、1970年には新クルゼイロはクルゼイロに改称されます。その後、1986年には1/1000のデノミによりクルザードに、さらに1989年には1/1000のデノミにより新クルザードが導入されました。新クルザードは、1990年、クルゼイロに改称されましたが、1993年、1/1000のデノミによりクルゼイロ・レアルが導入され、翌1994年、1/2750のデノミにより現行のレアルが導入され、現在に至っています。

 リオデジャネイロのコルコヴァードの丘にキリスト像を建立しようというプランは、帝政時代の1850年代半ば、愛徳姉妹会(貧しい人々のはしため、聖ヴィンセンシオ・ア・パウロの愛徳姉妹会)のペドロ・マリア・ボス司祭が、皇女イザベラを称えるものとして提案したのが最初だといわれています。

 当時、ブラジル皇室はカトリックを国教と定めていましたが、皇帝ドン・ペドロ2世は財政上の理由から、キリスト像の建設を許可せず、また、1889年の革命で誕生した共和国政府は、憲法で政教分離をうたっていたため、国家としてキリスト像を建立する道は閉ざされてしまいました。

 このため、教会は独自に建設費用を調達することにしましたが、ようやく、ある程度の資金の目途がついたのは1921年のことでした。ちなみに、像の建設費用25万ドルは、現在の価値では、330万ドルに相当しています。

 ときあたかも、翌1922年はブラジル独立100周年の記念すべき年だったため、キリスト像は独立100周年の記念事業として宣伝され、1923年に設立されたカトリック連盟が本格的に寄附金を募ることになりました。

 建設場所としては、当初、ポン・ヂ・アスーカルも検討されましたが、最終的に、当時の大統領エピタシオ・ペッソアがコルコヴァードの丘の頂上に建立するゴー・サインを出しています。

 設計を担当したブラジルの建築家、エイトール・ダ・シウヴァ・コスタは、当初、チリ=アルゼンチン国境の標高4000メートルの地点に立つキリスト像をモデルとすることも考えたようですが、最終的にキリスト自身を十字架に見立てたデザインを考案。夜明けの薄光の中でキリストを仰ぎ見ることで始まった一日が、沈みゆく夕日を背にしたキリストの姿で暮れていくことをイメージしながら、図面を引いたそうです。

 ダ・シウヴァ・コスタの設計ができあがると、キリスト像の実際の制作では、ルーマニア出身のゲオルゲ・レオニダがキリストの顔を作り、カルロス・オズヴァウヂが最終的なデザインを監修して、ポーランド出身のポール・ランドウスキが造形を担当。フランスで作られた像は輪切りにして運ばれ、現地で、鉄筋コンクリートの基礎から上部に向かって順番に組み立てて、頭、両腕、両手を付け加え、最後に、表面にリオデジャネイロ州の北隣にあるミナス・ジェライス州産の石鹸石を表面に貼って仕上げられました。

 1931年10月12日に完成したキリスト像は、高さは30メートル(台座を含めると38メートル)、両手を広げた長さが28メートル。その大きさは、奈良の大仏のおよそ2倍という堂々たる巨躯です。

 完成式典は1931年10月4日から12日まで続き、カトリックの集会のみならず、無線電信の開発で知られるマルコーニがローマのオフィスから無線を利用して、キリスト像の照明に点灯するパフォーマンスも行われました。ちなみに、現在のように、キリスト像の夜間ライトアップが常態化するのは、翌1932年、ブラジルの大手日刊紙『オ・グローボ』が照明機材を寄贈してからのことです。

 なお、コルコヴァードのキリスト像については、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』でも1章を設けて解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

 * 昨日の放送は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は6月15日の予定です。ちょっと間が開いてしまいますが、引き続き、よろしくお願いいたします。 

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