内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ジョン・トランブル『独立宣言』
2017-07-04 Tue 09:12
 きょう(4日)は、米国の独立記念日です。というわけで、ストレートにこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      米独立宣言(小型シート)       

 これは、1976年に米国で発行された“独立200年記念”のシートのうち、ジョン・トランブルの絵画『独立宣言』の一部を取り上げた1枚です。今回ご紹介のモノは、ちょっとわかりづらいのですが、下に示すように、右から2番目の切手が額面印刷漏れになっているのがミソです。      

      米独立宣言(部分)

 トランブルは1756年、コネチカット生まれで、父親のジョナサンは独立戦争の時代をはさみ、1769-84年にコネチカット州知事を務めました。1773年にハーヴァードを卒業後、1776年に独立戦争が勃発すると兵士として参戦し、ジョージ・ワシントンの副官補にもなりましたが、幼少期の事故で片目の視力を失っていたこともあり、1777年に除隊しました。

 1780年、ロンドンに渡って王室画家ベンジャミン・ウエストに師事。その後、パリなどを経て、1789年に帰国しますが、ウェストから独立戦争を題材とした作品を書くように勧められたのをきっかけに、米国最初の歴史画家として、独立戦争やその指導者の肖像などを題材とする作品を数多く残しました。

 今回ご紹介の切手に取り上げられた『独立宣言』は、1794-95年に制作され、現在、イェール大学が所蔵している小ぶりの作品と、連邦議会から依頼を受けて1817-19年に制作され、現在は連邦議事堂に掲げられている大型の作品の2点がありますが、内容的にはほぼ同じです。

 ところで、この作品は、しばしば独立宣言への署名場面として紹介されることが多いのですが、正確に言うと、独立宣言の草案を5人の起草者が大陸会議・議長のジョン・ハンコックに提出している場面で、署名をしている場面ではありません。5人の起草者のうち、草案を手に持っている赤色のベストの人物がトマス・ジェファーソンですが、彼の足元を見ると、一番左側に描かれているジョン・アダムス(後にジェファーソンの政敵になります)の足を踏んづけているように見えるなど、トランブルによる歴史解釈が垣間見えるのが面白いところです。(下の画像)

      米独立宣言(足元部分)

 なお、額面漏れの切手に描かれている人物は、ペンシルベニアの“自由の息子達”の指導者で、会議の書記官を務めチャールズ・トムソンです。トムソンは、代議員の入れ替わりが激しかった大陸会議の全期間(1774-89年)で書記官として議事録の作成に関わったことから、大陸会議の生き字引として、“米国の首相”とも呼ばれた人物です。

 ちなみに、独立戦争から建国初期の米国については、拙著『大統領になりそこなった男たち』でも、初代財務長官として10ドル紙幣にも取り上げられているアレクサンダー・ハミルトンを軸にまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月15-17日(土ー月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオーストラリア切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2017ポスター

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 ことしは、香港“返還”20周年ということで、内藤も昨年(2016年)、ニューヨークの世界切手展<NEW YORK 2016>で金賞を受賞した“A History of Hong Kong(香港の歴史)”をチャンピオンクラスに出品します。よろしかったら、ぜひ会場にてご覧ください。


 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史”  ★★★ 

  6月29日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第5回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲があるため、少し間が開いて7月27日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 

 なお、29日放送分につきましては、放送から1週間、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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