内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ベンガジ解放
2017-07-06 Thu 08:47
 リビア東部の実力者で民兵組織“リビア国民軍”を率いるハリファ・ハフタルは、きのう(5日)、同国第2の都市ベンガジからイスラム過激派組織を駆逐し、ベンガジを“完全解放”したと宣言しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イタリア・ベンガジ加刷

 これは、1911年に発行された“ベンガジ”加刷切手です。

 列強諸国によるアフリカ分割が進む中で、イタリアは当初、対岸のテュニジアの植民地化を狙っていました。しかし、1883年、テュニジアはフランスによって保護国化され、イタリアの目論見は潰えてしまいます。

 当然のことながら、イタリアはフランスによるテュニジア独占に不満を持っていましたが、フランスはイタリアに対して「代わりに隣のトリポリタニアを占領すればよい」と提案。これを受けて、1902年、イタリア・フランス間でトリポリタニアとテュニジアに関する協力協定が交わされました。

 この間、1901年3月、イタリアはベンガジに郵便局を開設し、同年7月には本国切手に“BENGASI”の地名と現地通貨の額面を加刷した切手を発行しました。

 その後、1911年に伊土戦争が勃発し、現在のリビアの地域がオスマン帝国からイタリアに割譲されると、ベンガジを含むイタリア領リビアでは“Libia”加刷の切手が使用されるようになります。

 イタリアの支配下で、キレナイカでは港湾整備が進み、多くのイタリア人が移住。第二次大戦中は戦略上の要衝として英独が古語に占領しましたが、最終的に英国の占領下に置かれます。その後、1949年には、内陸部を拠点に独立運動を展開していたイスラム神秘主義のサヌーシー教団のイドリース1世が、リビア東部、キレナイカの独立を宣言すると、ベンガジはその首都となりました。

 このキレナイカと、隣接するイタリアの植民地だったトリポリタニア(西北沿岸部)とフェザーン(西南内陸部)が連合し、1951年にリビア連合王国を結成して独立したのが現在のリビア国家の原点です。

 王制時代のリビアでは、上記のような事情から、ベンガジはトリポリとともに首都となり、国王と政府機関は季節によって両首都を使い分けていましたが、1969年、カダフィの革命で王制が廃止されると、トリポリのみが首都となり、ベンガジは首都としての地位を失います。こうしたこともあって、ベンガジはカダフィへの支持が低く、2011年の内戦の際には、ベンガジが反カダフィ派の拠点になり、反体制派組織“リビア国民評議会”の本部も置かれていました。

 カダフィ政権崩壊後の2012年3月6日、リビア東部の有力部族や民兵組織の指導者らがベンガジで会議を行い、“キレナイカ暫定評議会”の樹立を宣言。トリポリを拠点とする国民評議会とは別に、旧キレナイカ地域での自治を行うことを決定します。これに対して、国民評議会は彼らの行為を国家を分断するものとして非難し、対立が続いています。

 こうした中で、2014年7月、ベンガジの政府軍特殊部隊の本部をイスラム系武装勢力のアンサール・シャーリアが襲撃し、同施設を占領。以後、リビア国民軍とアンサール・シャリーアおよび彼らを支援するイスラム過激派との戦闘が続いていました。なお、リビア国民軍はトリポリ政府の正統性を認めておらず、キレナイカ暫定評議会を支持していますので、トリポリ政府からすると、ベンガジに彼らの統制が及ばない状況には変わりありません。


 ★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月15-17日(土ー月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオーストラリア切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2017ポスター

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 ことしは、香港“返還”20周年ということで、内藤も昨年(2016年)、ニューヨークの世界切手展<NEW YORK 2016>で金賞を受賞した“A History of Hong Kong(香港の歴史)”をチャンピオンクラスに出品します。よろしかったら、ぜひ会場にてご覧ください。


 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史”  ★★★ 

  6月29日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第5回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲があるため、少し間が開いて7月27日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 

 なお、29日放送分につきましては、放送から1週間、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

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 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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