内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:南アフリカ
2017-07-12 Wed 11:17
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2017年7月12日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回は南アフリカの特集(2回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      南アフリカ・ワイン(1977)

 これは、1977年に発行された“ヴィンテージワインの品質に関する国際シンポジウム”の記念切手で、赤と白のグラスワインが取り上げられています。

 ケープタウンの歴史は、1652年、ファン・リーベックが3隻のオランダ船を率いて上陸し、インド=オランダ航路の中継地としての基礎を築いたことから始まりますが、はやくも1655年には初代総督となったファン・リーベック本人がブドウの苗木を植え、1659年に最初のワインを生産しています。

 第2代総督のシモン・ファン・デル・ステルは、1679年、内陸進出の拠点として、テーブル・マウンテンの山麓にケープタウンに次ぐ第2の都市としてステレンボッシュを建設しました。

 開拓地は1682年に地方自治体となり、翌年には学校も開設されるなど、急速に発展。1685年にはファン・デル・ステル本人が近郊にマナー・ハウスと呼ばれる住居を建設。1689年、その周囲に750ヘクタールのブドウ畑を開拓。これが、現在のコンスタンシア地区のルーツで、マナー・ハウスの建物は、後に南ア最古のワイナリー、グルート・コンスタンシアとなりました。

 17世紀末、フランスから、ステレンボッシュとその周辺にプロテスタントのユグノー移民が大挙して流入。彼らは、この地が気候的にも、土壌の面でもブドウ栽培に適していることを見抜き、フランス仕込みのワイン生産を開始。ステレンボッシュに続き、現在の西ケープ州内のパール、フランシュフック、サマセット・ウェスト、ウェリントンの5つの隣接する地域を開拓しました。現在、それらはワイン・ランドと総称されています。

 1778年、ドイツ系移民の血を引くヘンドリック・クローテは、ワイナリー、グルート・コンスタンスを率いて、デザート・ワインの傑作“コンスタンシア”を作り出しました。

 ヘンドリックの死後、コンスタンシアのワイナリーは息子のヘンドリックJrを経て、孫のヤコブ・ピーターが後を継いだ。フランス語に堪能だったヤコブ・ピーターはパリにコンスタンシアの代理店を開設。ナポレオン戦争でフランスのワイン産業が大きな打撃を受けたことに加え、英仏間の貿易が途絶したこともあって、以後、コンスタンシアは最上級のデザート・ワインとしてヨーロッパの上流社会を席捲します。そして、コンスタンシアに牽引されるかたちで、他のケープ・ワインもヨーロッパで広く飲まれるようになり、ケープ植民地のワイン産業は急速に発展しました。

 ところが、1861年、英仏関係が改善され、英国でのフランス製品への輸入関税が大幅に引き下げられると、ケープ・ワインの英国向け輸出は激減。さらに、1866年にはブドウに被害をもたらす害虫、フィロキセラが蔓延してケープ・ワインの生産は壊滅的な打撃を受けました。その後、ボーア戦争を経て、1910年、ケープ植民地は英領南アフリカ連邦に編入されますが、これと前後して、北米から、フィロキセラに対する耐性があるブドウの苗木が持ち込まれ、ケープ・ワインも復活しました。

 しかし、1910年代、ケープ・ワインは過剰生産で値崩れを起こしたため、南ア政府は、1918年、ワインの生産調整と価格安定を目的に、南アフリカ醸造者協同組合(KWV)を設立。ケープ・ワインの市場と価格を管理するようになりました。KWVは1997年に株式会社化され、2002年に完全民営化されましたが、現在なお、KWVは輸出されるケープ・ワインの相当部分を扱っています。

 さて、『世界の切手コレクション』7月12日号の「世界の国々」では、ケープ・ワインについての長文コラムのほか、ロベン島監獄差出の郵便物フランス・ウールダーの絵画「ロブスターのある風景」キャンプス・ベイ、ヤン・ファン・リーベック、ケープ・ペンギンの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、今回の南アフリカの次は、本日(12日)発売の7月19日号でのウルグアイの特集になります。こちらについては、発行日の19日以降、このブログでもご紹介する予定です。 


 ★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月15-17日(土ー月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオーストラリア切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2017ポスター

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 ことしは、香港“返還”20周年ということで、内藤も昨年(2016年)、ニューヨークの世界切手展<NEW YORK 2016>で金賞を受賞した“A History of Hong Kong(香港の歴史)”をチャンピオンクラスに出品します。また、会期中、16日(日)15:30~、展示解説も行いますので、皆様よろしくお願いします。


 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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