内藤陽介 Yosuke NAITO
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 蚊の日
2017-08-20 Sun 16:57
 きょう(20日)は、1897年8月20日に英国の細菌学者ロナルド・ロスが、羽斑蚊類の蚊の胃の中からマラリアの原虫を発見したことにちなむ“蚊の日”だそうです。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      沖縄・国際マラリア防遏事業(3c)

 これは、1962年4月7日に米施政権下の沖縄で発行された“国際マラリア防遏事業”の切手のうち、マラリアを媒介するハマダラカを写実的に取り上げた3セント切手です。

 1948年に発足した世界保健機構(WHO)は、1955年から、世界各地でDDT散布を行うなど、大規模な“マラリア撲滅キャンペーン”を行っていました。それが一定の成果を上げたことから、WHOはさらなる啓発活動の一環として、加盟各国に対して、1962年4月7日(WHOの創立記念日)に記念のキャンペーン切手を発行することを提唱。これを受けて、主として、熱帯・亜熱帯のマラリア被害の深刻な地域でマラリア関係の切手が一斉に発行されました。今回ご紹介の切手もその1枚です。

 さて、沖縄では、歴史的に八重山諸島、特に石垣島の北側(裏石垣)と西表島がマラリアの蔓延する地域として恐れられていました。

 1944年10月、石垣島への空襲が始まり、1945年3月には連合国軍が慶良間諸島に上陸。そこから主戦場は沖縄本島とその周辺に移るものの、その間、八重山地区は激しい空襲と艦砲射撃にさらされ続けます。

 そうした中で、八重山地区最南端の波照間島では、3月下旬、米軍上陸の可能性が高まったとして、全住民に対して西表島南部の南風見田への疎開が命じられました。しかし、疎開先として指定された南風見田はマラリアの発生地域で、1920年にそのために廃村に追い込まれたという経緯があったため、住民の多くは疎開に反対しましたが、最終的には軍の命令ということで、やむな糞會を受け入れています。また、4月初頭には、ほぼ同様のことが黒島でも行われています。

 さらに、1945年5月下旬、日本軍第32軍が司令部のあった首里を離れ本島南部方面に敗走したため、八重山軍は台湾の第10方面軍の直轄下に移されます。第10方面軍は沖縄本島の次は八重山が攻撃を受ける可能性が高いと判断し、一般住民の山岳地域への避難を命じられました。

 いずれの場合も、疎開を余儀なくされた住民たちは、マラリア発生地域での不衛生な環境での共同生活を余儀なくされたため、疎開者の全人口の半数を上回る1万7000人がマラリアに罹患し、3000人以上が死亡(特に、波照間島の住民1590人に関しては、1587人がマラリアに罹患し、477人が死亡)しています。

 このように、いわゆる沖縄戦の時期に疎開した一般住民がマラリアに罹患して多数が死亡したことは、“戦争マラリア”と呼ばれており、八重山では戦争の悲劇の象徴として現在なお語り継がれています。
 

 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史”  次回は24日★★★ 

 8月24日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第7回が放送予定です。今回は、放送日が独立記念日のウクライナにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、高校野球の順延などにより、24日の放送がなくなる可能性もありますが、その場合はあしからずご容赦ください。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


 ★★★ トークイベントのご案内  ★★★ 

      タウンミーティング in 福山

  2017年9月17日(日) 14:00~、広島県立ふくやま産業交流館で開催の「日本のこころタウンミ-ティング in 福山」に憲政史家の倉山満さんとトークイベントをやります。お近くの方は、ぜひ、ご参加ください。なお、イベントそのものの詳細は、こちらをご覧ください。
      
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      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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