内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ホークスが2年ぶりの優勝
2017-09-16 Sat 21:28
 プロ野球のパシフィック・リーグはソフトバンク・ホークスが2年ぶり18度目の優勝を果たしました。9月16日の優勝決定は2015年の9月17日より早いリーグ最速記録だそうです。というわけで、きょうは鷹を描いた切手の中からこの1枚です。

      ガザ・ジャアバリー追悼

 これは、2013年6月5日、ガザ地区を実行支配するハマース政府が発行したアフマド・ジャアバリーの追悼切手シートで、ジャーバリーの肖像と並んで、岩のドームを中心としたパレスチナの地図とアラブの象徴としての鷹、上空を飛ぶロケット弾と撃墜されるイスラエル軍の軍用ヘリがコラージュされています。

 アフマド・ジャアバリーは、1960年、ガザ生まれで、ガザのイスラム大学を卒業しました。当初はファタハの活動家として、世俗的な反イスラエル闘争に参加していましたが、1982年に逮捕され、獄中で13年間を過ごす間にイスラム原理主義に感化され、ファタハを離脱してハマースに参加します。

 1995年の釈放後は、ガザで反イスラエルの武装テロ活動に従事して頭角を現し、第二次インティファーダ発生後の2002年、ハマースの軍事組織、イッズッディーン・カッサーム旅団の事実上の司令官として戦闘を指揮。2006年にはイスラエル兵ギラド・シャリートの誘拐と他の兵士2名の殺害に関して主導的な役割を果たしたほか、2007年のハマースによるガザ制圧に際しても軍功を挙げました。

 以後、ハマースの軍事部門トップとして、ファタハ政府(パレスチナ自治政府として国際的な承認を得て西岸地区を統治)とイスラエルの和平交渉の進展を徹底的に妨害すべく、ロケット弾によるイスラエル領内への攻撃を指揮しました。当然のことながら、イスラエル側からすれば、ジャアバリーは、当時のもっとも凶悪・危険なテロリストとみなされていました。

 ところで、2011年9月23日、ファタハ政府は“パレスチナ”として国連への加盟申請を行い、同年10月31日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がパレスチナを加盟“国”として承認しましたが、これを受けて、国連の場では、パレスチナ自治政府を従来の“オブザーヴァー組織”から“オブザーヴァー国家”に格上げする(=パレスチナを国連の“加盟国”としては認めないものの、正規の独立国であることを国連として事実上承認するという妥協策です)総会決議を2012年に採択する方向で調整が進められていました。これに対して、ハマース政府はガザを拠点にあくまでもイスラエル国家の存在そのものを否定し続けていたため、国連総会での決議採択を前に、イスラエルのネタニヤフ政権はハマースのテロ活動に打撃を与えるべく、2012年11月14日、ガザ地区に空爆を行い、車で移動中のハマースの軍事部門のトップ、アフマド・ジャアバリーを殺害しました。

 さらにジャアバリーの殺害に成功したイスラエル当局は、殺害の模様を撮影した動画を直ちにユーテューブに投稿。トゥイッターでもハマースがテロリストであることを強調したうえで、「ハマースの工作員は階級にかかわらず、今後数日間は地上に顔を出さないよう勧める」と発信します。

 イスラエルによるジャアバリー殺害に対しては、アラブ諸国がこれを批難し、エジプトはイスラエル大使を召還。当事者のハマースはイスラエルの“宣戦布告”に対して、同じくトゥイッターで「我々の神聖な手は、お前たちのリーダーや兵士がどこにいようと届く」と応酬しています。はたして、以後7日間、ハマースによるイスラエル領内への砲撃は激しさを増し、160人を超える死者が発生しました。

 こうした経緯を経て、ガザのハマース政府は、翌2013年6月5日、今回ご紹介の切手シートを発行しました。シートのデザインは、ジャアバリーの主導したロケット弾による対イスラエル攻撃を讃えるとともに、パレスチナ全土は“パレスチナ国家(ここではハマース政府のこと)”のものであり、その防衛のためには今後とも容赦なくイスラエルに対してロケット弾を撃ち込んで行く意思があることが示されています。

 ちなみに、ジャアバリー殺害から約半月後の2012年11月29日に開催された国連総会で、パレスチナ(ファタハ政府)を“オブザーヴァー組織”から“オブザーヴァー国家”に格上げする決議67/19が、賛成138、反対9、棄権41、欠席5の圧倒的多数で承認されました。反対票を投じた9ヵ国はカナダ、チェコ、ミクロネシア、イスラエル、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、パナマ、米国で、わが国は賛成票を投じています。

 なお、ガザ地区を実効支配下に置くハマース政府とそのプロパガンダ切手については、新刊の拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』でもいろいろと分析しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。
 

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