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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ボリヴィアでゲヴァラ没後50年式典
2017-10-10 Tue 13:08
 キューバ革命の英雄、チェ・ゲバヴァラが、1967年10月9日、南米ボリヴィアの山中で米中央情報局(CIA)の支援を受けた同国軍に処刑されてから50年に当たるのを記念して、現地時間の9日、最期の地となった南部の寒村ラ・イゲーラに近いヴァジェ・グランデ市でボリヴィア政府主催の式典が行われました。というわけで、今日はこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      キューバ・ゲヴァラ最期の地

 これは、2007年、キューバが発行した“ゲヴァラ戦死40周年”の記念切手のうち、ゲヴァラ最期の地となったラ・イゲーラ(ボリヴィア)のモニュメントが取り上げられています。

 1965年2月、「別れの手紙」を残してキューバを去ったゲヴァラは、新たな革命の地を求めてコンゴ動乱に馳せ参じ、約1年間、軍事政権に対抗する左翼反乱軍に参加しました。しかし、反政府勢力首脳部の腐敗と堕落に幻滅した彼は、“世界革命”の理想を抱えてコンゴから撤退し、チェコスロヴァキアを経てラテンアメリカに戻り、1966年11月、独裁政権下のボリヴィアに潜入。革命に向けての“アンデス計画”を展開します。

 アンデス計画は、(実際の地理的条件を無視すれば)ペルー、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルからほぼ等距離にあるボリヴィア北部の山岳地帯を拠点に、現地の農民を革命兵士に育て上げ、訓練施設を拡充し、ついで近隣諸国から送り込まれる志願者を革命兵士として教育し、その見返りとして資金的・物質的援助を得て、活動の範囲を広げていくという壮大なものでした。

 しかし、現地のボリヴィア共産党や先住民の農民は“よそ者”のゲヴァラに対して非協力的で、ゲヴァラらは勢力を拡大できないまま、1967年10月8日、ゲヴァラは戦闘でふくらはぎを負傷。ラ・イゲーラ近くのケブラダ・デル・ジューロ(ユーロ)渓谷で捕縛された後、村の小学校に移送され、翌9日、銃殺されました。最期の言葉は、銃殺をためらう政府軍兵士に対して発せられた「お前の目の前にいるのは英雄でも何でもないただの男だ。撃て!」でした。

 その後、ゲヴァラの遺体は、ヴァジェ・グランデ市内に運ばれ、しばらく晒しものにされた後、密かにヴァジェ・グランデの滑走路に埋められました。

 ゲヴァラの殺害から28年が経過した1995年、遺体の処理に関わった元軍人のバルガス・サリナス(事件当時の階級は大尉。最終的に将軍まで昇進)は、伝記作家のインタビューに答えて、ゲヴァラの埋葬場所を公表。当初、ボリヴィア陸軍はサリナス証言を否定し、サリナスに対して“元将軍”の地位と名誉を剥奪する処分を下しましたが、当時のボリヴィア大統領、ゴンサロ・サンチェスは、ゲヴァラの埋葬場所を観光資源化することを考え、遺体の捜索を約束します。

 こうして、1995年11月、キューバとアルゼンチンから専門家チームが現地に派遣され、発掘作業が開始。1年半後の1997年6月29日、遺骨が発見されました。

 発掘されたゲヴァラとキューバ人同志たちの遺骨は、それぞれ、木棺に収められた後、キューバ国旗に包まれ、ハヴァナへと空輸されました。遺骨は、ハヴァナ市内中心部の革命広場で盛大な帰還式典が行われた後、新たに建設されたサンタ・クララ霊廟の地下に収められ、現在に至っています。

 一方、遺骨発見のタイミングがゲヴァラの没後40周年と重なったこともあり、ラ・イゲーラでは大々的な記念行事が行われ、殺害場所となった小学校がリニューアルされて村営博物館となったほか、村の中央広場には高さ4mの巨大なゲヴァラ立像のほか、今回ご紹介の切手に取り上げられたセメント製の胸像が作られました。胸像の台座の文言“TU EJEMPLO ALUMBRA UN NUEVO AMANECER”はスペイン語で「あなたの示した手本が世界に夜明けをもたらす」との意味で、その下には供物や灯明を置くスペースもあります。共産主義者だったはずのゲヴァラが、いつのまにか、地元では“ゲヴァラ大明神”のような雰囲気になっているのが面白いところです。

 ちなみに、きのうの式典で、ボリヴィアのモラレス現大統領は「チェは革命戦士であり、帝国主義との戦いのシンボルだ」と述べ、ゲバラの業績をたたえるとともに、「帝国主義の傭兵の弾は彼の精神を殺すことはできなかったし、彼の理想を覆い隠すことはできなかった」、「戦いを続けることがチェへの最大の手向けとなる」と述べるなど、反米左派としての立場を強調しています。しかし、その一方で、「命令に従うしかなかった兵士らに責任はない。責めを負うのはCIAやそれに服従した(当時の)将軍たちだ」と述べ、最高司令官として軍への配慮も示しました。

 今年のゲヴァラの没後50年ということで、映画「エルネスト」も公開されましたが、来年(2018年)は、1928年6月14日生まれのゲヴァラにとって生誕90周年ということです。今回の没後50年位は間に合いませんでしたが、メモリアル・イヤーもしばらくは続くことですし、来年は、ぜひともゲヴァラ関係のまとまった仕事をしたいですねぇ。

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