内藤陽介 Yosuke NAITO
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 泰国郵便学(51)
2017-11-12 Sun 14:43
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、財団法人・日本タイ協会発行の『タイ国情報』第51巻第5号ができあがりました。そこで、僕の連載「泰国郵便学」の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      タイ・オニテナガエビ(1976)  

 この切手は、1976年2月18日に発行された“タイの代表的な食用エビ”の切手のうち、オニテナガエビを取り上げた1枚です。次いでですので、バンコクの海鮮レストランで生簀の中のオニテナガエビを撮影した写真が手元にありましたので、下に貼っておきます。

      オニテナガエビ・実物

 タイでエビの養殖がいつから始まったかは定かではありませんが、1960年代に地元の古老を対象に行った聞き取り調査によると、遅くとも、1930年までにはエビの養殖が始められていたようです。初期のエビの養殖は、主としてタイランド湾の河口に近い低地の米作農家が乾季の間の副業としてエビを飼い、販売するものでした。

 一方、タイランド湾に面したサムットプラーカーン県、サムットサーコーン県、サムットソンクラーム県は伝統的に製塩業が盛んでしたが、1950年頃、塩の値段が暴落したため、塩田の多くがエビの養殖に転業します。

 1960年代後半までにエビの養殖はタイランド湾沿岸のほぼ全域に拡大しましたが、その中心は上記3県で、ほかに、ラヨーン県、チョンブリー県、チャンタブリー県が主要な生産地でした。当時のエビ養殖業者は、一軒あたり平均4ヘクタールの養殖池で年間1356キロのエビを生産してました。

 1970年代に入ると、日本でのエビの需要の拡大に伴い、エビの輸出も拡大しましたが、その反面、乱獲により天然エビ漁は衰退し、養殖エビの重要性も増大します。今回ご紹介の切手は、そうした状況の下で、輸出商品としてのエビを宣伝する目的で発行されました。

 切手に取り上げられたオニテナガエビは、タイ、マレーシアなどの東南アジア原産の淡水産のエビで、オスで最大32センチ、メスで25センチに成長します。色は藍色で、頭部が大きく、第二歩行足が体長よりも長くなっています。タイ語では、一般に川エビを意味する“グン・メーナーム”と呼ばれ、レストランの英文メニューでもその直訳の“River Prawn”と表示されていることも多いようです。ただし、英語表現としては、FAO(国連食糧農業機関)の指導により、マレーシアで本格的な養殖が始まったことから、マレーシア・プローンの通称で呼ばれるのが一般的です。

 レストランなどで調理される場合は、このエビの最大の特徴である鋏が外されてしまうことが多いので、バナメイエビとよく似た外観になりますが、バナメイエビに比べて兜が幅広いので識別は難しくはありません。タイでの調理方法としては、“シューシー・グン(レッドカレー炒め。カレーとしてではなく、一品料理として供される)”や“グン・オップ・ウンセン(エビと春雨の蒸しもの)”などが好まれています。


★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★★

  11月9日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第11回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、大相撲のため1回スキップして、11月30日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。 

 なお、9日放送分につきましては、16日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。


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