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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イラク全土、解放宣言
2017-12-10 Sun 14:40
 イラクのハイダル・アバディ首相は、きのう(9日)、“イスラム国”を自称する過激派組織、ダーイシュを国内から一掃し、全土を解放したとして「戦争の終結」を宣言しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラク・モスル解放(2017)

 これは、今年(2017年)、イラクで発行されたモースル解放の記念切手です。

 2003年の“イラク戦争”によってサダム・フセイン政権が崩壊した後、イラクは米英を中心とする有志連合の軍事占領下に置かれ、連合国暫定当局(CPA)によって統治されていましたが、2004年6月28日、国家の主権は暫定政権に移譲されました。これに伴い、有志連合軍は国際連合の多国籍軍となり、治安維持などに従事することになります。

 2005年1月30日に行われた議会選挙の結果、3月16日に国民議会が召集され、10月25日、新憲法が可決承認されます。これに伴い、12月15日、新生イラクの正式政府発足に向けた議会選挙が行われましたが、政権を巡りスンニ派とシーア派、クルド人勢力の対立から治安が極端に悪化し、イラク国内は実質的に内戦状態に突入しました。

 当時、イラク国内でテロ活動を展開していたイスラム過激派としては、“イラクの聖戦アル・カーイダ組織”が最大のものでしたが、この組織は、2006年1月、外国人義勇兵とイラク人民兵の対立から“ムジャーヒディーン諮問評議会”と改称。さらに、同年10月には他組織と統合し、“イラクのイスラム国(ISI)”を自称するようになりました。

 ISIは、2009年以降、バグダードをはじめ国内各地で自爆テロを実行し、多くの民間人を殺傷していましたが、2013年4月、ISIの指導者、アブー・バクル・バグダーディーは、シリアで活動するヌスラ戦線がISIのの下部組織であり、両者と合併して“イラクとレヴァントのイスラム国(ISIL)”ないしは“イラクとシリアのイスラム国(ISIS)”に改称すると宣言します。ちなみに、ダーイシュというのは、そのアラビア語のالدولة الاسلامية في العراق والشام‎の頭文字をとった呼称です。

 さて、ダーイシュはシリアの反アサド政権組織から武器の提供や、戦闘員の増員を受けて、急速に軍事力を強化し、2013年12月30日のイラク西部アンバール県ラマーディーから侵攻を開始し、2014年1月にはラマーディーと同県の都市であるファルージャを掌握、3月にはサーマッラーを襲撃しました。さらに、6月10日にはモースルを陥落させたほか、同月17日にはバグダード北東約60キロのバアクーバまで進撃。6月29日には、バグダーディーを“カリフ”として、当時、彼らの勢力が及んでいたシリア北部のアレッポからイラク中部のディヤラ州までを領域とする“イスラム国”の樹立を一方的に宣言します。

 これに対して、同年8月7日、フランスの求めにより国連安保理の緊急会合が非公式で開催され、ダーイシュによる攻撃で、危機に直面しているイラクを支援することが呼び掛けられました。これを受けて、翌8日、米国がイラク国内のダーイシュ拠点に対して空爆を開始すると、フランス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンも作戦参加表明。9月19日には、国連安保理が全会一致でISILの壊滅に向けて対策強化を求める議長声明を採択しました。

 以後、3年半に及ぶ掃討作戦により、一時はイラク国土の4割を支配していたダーイシュは次第に追い詰められ、イラク軍は、ことし7月にはモースルを、11月17日には最後の拠点都市だった西部ラワをダーイシュから撤退。その後は、国境付近の砂漠地帯で、組織一掃のための作戦が行われていました。
 

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