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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の切手:東ドイツ
2018-04-15 Sun 15:06
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』4月4日号が発行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回は東ドイツを取り上げました。その記事の中から、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます) 

      ドイツ・ソ連占領地区3ペニヒ加刷

 これは、1948年、ベルリンのソ連占領地区で、米英ソ占領地区共通に3ペニヒの額面を加刷した切手です。

 第二次大戦に敗れたドイツは、オーデル川とその支流のナイセ川を結ぶオーデル=ナイセ線以東の領土を失い、米英仏ソが分割占領します。占領区域は、オーデル=ナイセ線以西を東西に2分したうえで、東半部をソ連が、西半部の北部をフランスが、中部をイギリスが、南部を米国が担当。首都ベルリンに関しては、東ベルリンはソ連、西ベルリンは米英仏の3国の統治下におかれ、西ベルリンはソ連占領地に囲まれた飛び地となります。

 ただし、占領初期の段階では、一般市民による東西ベルリンの往来は自由で、西ベルリンにはソ連占領地区から電気・ガス・水道が供給されていました。

 第二次大戦後、ソ連占領下の中東欧で共産政権が次々と成立すると、米国は対ソ封じ込めに乗り出し、その具体策として1947年6月、全ヨーロッパ諸国への経済援助計画(マーシャル・プラン)を発表します。

 この時点では、占領下のドイツでは、戦前からのライヒスマルクが共通通貨としてそのまま使われていましたが、昂進するインフレ対策として、1948年5月、米英仏の3国占領地区では通貨の切り下げを計画。6月18日、ベルリンを除く西側占領地区で、同20日以降、戦前から使用されていたライヒスマルクとさらにそれ以前のレンテンマルクを新規のドイツマルクへと強制的に切り替えることが発表されると、ソ連占領地区へは使用禁止となった旧マルクが大量に流入。インフレのさらなる悪化は避けられなくなりました。

 そこで、ソ連は東西ベルリンの往来を禁止し、橋の破壊や国境の封鎖などにより、西ベルリンと外部の交通も遮断。今回ご紹介の切手は、こうした状況の下、西側地区で使用停止となったライヒスマルク額面の切手が流入することを防ぐため、従前からの郵便局の在庫に、局名と額面を加刷して発売されたものです。

 さらに、新マルクが実際に発行されると、23日、ソ連は、対抗措置として、自らの占領地区と全ベルリン地区の通貨改革を発表します。そして、26日以降、ソ連占領地区と全ベルリンで旧マルクと西側の発行したドイツマルクを無効にし、ソ連側が用意した証紙付き紙幣を流通させようとしました。

 これに対して、米英仏は、ソ連の措置はベルリンの共同管理に違反すると抗議しましたが、ソ連はこれを無視し、西ベルリンへの送電を停止し、物資の流通も禁止。西ベルリンの住民数十万を人質として、米英仏に譲歩を迫りました。

 これが、いわゆる(第1次)ベルリン危機です。

 ベルリン危機が発生すると、米英仏は、それまで西ベルリンには適用しないとしていた通貨改革を西ベルリンでも実施。ソ連に対して徹底的に抵抗する姿勢を示すとともに、米国を中心とする西側占領軍当局は、西ベルリン地区住民を救済するため、ただちに食糧・物資の空輸を開始しました。

 こうした西側の強硬姿勢の前に、最終的にソ連も妥協を余儀なくされ、1949年5月、西ベルリンの封鎖は解除されましたが、ソ連と西側諸国との対立は決定的なものとなります。

 その結果、1949年5月8日、西側占領地区の憲法制定会議が「ドイツ連邦共和国基本法」を可決し、同月23日、米英仏の西側統治諸州にボンを首府とする連邦共和国臨時政府が成立。9月7日の連邦議会開会、9月13日のテオドール・ホイス大統領就任、9月15日のコンラート・アデナウアー首相就任を経て、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)が正式に発足します。

 これに対抗して、ソ連占領地域では、同年10月7日、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の成立が宣言され、1990年のドイツ統一にいたるまで、ドイツには東西の2政府が併存する状況が続くことになりました。

 さて、『世界の切手コレクション』4月4日号の「世界の国々」では、東西ドイツ成立の経緯をまとめた長文コラムのほか、アイスレーベンのレーニン像、ライプツィヒ・メッセ、ライプツィヒ旧市庁舎、カール・マルクス、レープクーヘン、ベルリン・ベアの切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、今回の東ドイツの次は、4月11日発売の4月18日号でのエチオピア(と一部ザイール)の特集になります。こちらについては、発行日の18日以降、このブログでもご紹介する予定です。


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