内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょう、イラク総選挙
2018-05-12 Sat 13:43
 イラクで、きょう(12日)、昨年末の“イスラム国”ことダーイシュ掃討完了宣言後、初の発の国会選挙(定数329)が行われます。というわけで、きょうはイラクの切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      イラク・対日国交75年(500)

 これは、前回のイラク国会選挙が行われた2014年に発行された“日本との外交関係樹立75周年”の記念切手のうち、500ディナール切手です。

 現在のイラク国家の地域は、第一次大戦以前はオスマン帝国の支配下に置かれていましたが、1918年、第一次大戦でオスマン帝国が敗北すると、そのモースル州・バグダード州・バスラ州(ただし、現在のクウェート国家に相当する地域を除く)は英国の勢力圏とされ、1921年、この地域に英国委任統治領メソポタミアが成立しました。

 英国は、ハーシム家(イスラムの預言者ムハンマドの直系の子孫で、聖地メッカの地方君主を輩出した家系)の出身で、大戦中のアラブの指導者であったファイサル・イブン・フサインを国王として招き、親英王制を樹立したうえで、1932年、ファイサルを国王とするイラク王国を独立させます。

 このイラク王国と日本との正式な外交関係は、1939年11月、日本がイラクに公使館を設置したところから始まりましたが、第二次大戦により両国関係は一時途絶。1952年、日本が講和独立を達成したことで、両国の外交関係は復活し、1955年12月、イラク側が在日公使館を開設しました。

 1956年9月には、考古学者でもある三笠宮殿下を長とする日本の学術調査団がイラクを訪問。翌1957年にはイラクの皇太子が日本を公式訪問するなど、両国の皇室も友誼を通じていましたが、1958年7月の革命でイラクの王制は打倒され、現在のイラク共和国が発足します。

 共和革命後の1960年、イラクの日本公使館が大使館に格上げされると、在日イラク公使館も大使館に格上げされます。さらに、1964年には両国間で貿易協定が、1974年には経済技術協力協定が結ばれました。特に、石油危機直後の1974年には、日本は10億ドルの円借款と引き換えに10年間の原油供給保証をイラク側から受けており、これを機に、日本の商社はイラクの高速道路、病院、セメント工場、発電所、バグダード国際空港などの大型プロジェクトを受注しています。

 しかし、1980年にイラン・イラク戦争が勃発すると、イラクにおける日本企業の活動は大いに減退。さらに、1990年のイラク軍によるクウェート侵攻を経て1991年に湾岸戦争が勃発すると、それに伴い国連による対イラク経済制裁が発動され、日本とイラクの輸出入は事実上停止されました。

 サダム・フセイン政権崩壊後の2003年以降、日本は国際社会と協調してイラクの復興・民主化支援を行っており、同年のマドリード会合では、無償支援15億ドルと円借款35億ドルの支援を表明。また、ムサンナ州サマーワへの自衛隊を派遣して人道的支援も行い、現地住民の歓迎を受けました。また、2007年と2011年にはヌーリー・アル=マーリキー首相(当時)が訪日しています。

 さて、“日本との外交関係樹立75周年”の切手は、同図案の3種と小型シートのセットで発行されましたが、そのうち、今回ご紹介の500ディナール切手は、印面下方の記念銘のアラビア語表記が間違っていることで話題になりました。これは、右から左に書くべきアラビア文字の順番が、左から右になってしまったためで、おそらく、パソコンでの入力ならではのミスでしょう。ちなみに、他の切手は正しいアラビア語表示になっていますので、なぜ、500ディナール切手にだけそうしたミスが生じたのか、ちょっと不思議です。(下に正しい表示の切手とアラビア語の正誤それぞれの画像を貼っておきます)

      イラク・対日国交75年(250)

 250ディナール切手の正しいアラビア語表示 

      イラク・対日国交75年(250部分)

 500ディナール切手の間違った(左右文字の順番が逆の)アラビア語表示
      
      イラク・対日国交75年(500部分)


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