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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の切手:ミャンマー
2018-06-09 Sat 01:55
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2018年6月6日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はミャンマー(と一部アンティグア・バーブーダ)の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ビルマ国・独立の文字

 これは、1943年8月1日、日本軍政下のビルマで発行された“独立記念”の切手のうち、1セント切手の無目打ペアです。

 1941年12月の日英開戦後、1942年5月末までにビルマ全土をほぼ制圧した日本軍は、英国の支配下で投獄されていた独立運動の闘士、バーモ(バモオ)を行政府長官兼内務部長官として、8月1日、ビルマ中央行政府を樹立します。その際、日本軍はビルマ独立は戦勝後の予定とし、即時独立を認めませんでした。また、ビルマ国民には軍政への協力を要求する一方で、批判的な民族主義者や若いタキン党員の政治参加を抑圧したこともあって、ビルマ側の不満が鬱積していきます。

 このため、戦況が悪化する中で、ビルマにより一層の戦争協力を求めるための見返りを用意する必要に迫られた日本政府はビルマ独立の方針を具体化し、1943年3月10日に『緬甸独立指導要綱』を決定。同年8月1日、軍政を廃止し、バーモを首班とするビルマ国としての独立を承認しました。ただし、独立と同時に、日本ビルマ同盟条約が締結され、ビルマは連合国へ宣戦布告することになり、日本軍の駐留はその後も終戦まで続けられることになります。

 今回ご紹介の切手では、ビルマ語で“独立”の文字を彫刻する場面が描かれていますが、ビルマ語を表記するためのビルマ文字は、ビルマのモン族が使っていた文字をベースに11世紀後半、ビルマ語に転用されるようになったもので、子音を表す基本字母の周囲に母音記号と声調を組み合わせた構造となっています。この地域では、かつて、紙の代わりにタラバヤシの葉を用いていたため、直線を使うと葉が避けてしまうため、曲線を中心とした字形で、左から右へと綴ります。また、ビルマ語以外にもサンスクリットやパーリ語などの表記にも用いられます。

 さて、『世界の切手コレクション』6月6日号の「世界の国々」では、第二次大戦の勃発後、日本占領時代を経て1948年の独立にいたるまでのビルマ近代史についてまとめた長文コラムのほか、第二次大戦中の日本軍の捕虜収容所の郵便物ロンジースカート緑の孔雀の切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当ですが、今回のミャンマー(と一部アンティグア・バーブーダ)の次は、6月6日に発売予定の6月13日号でのイスラエルの特集です。こちらについては、発行日の6月13日以降、このブログでもご紹介する予定です。
 

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