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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 羽衣伝説はレイプ犯の物語か
2018-07-29 Sun 01:21
 韓国版の羽衣伝説として知られる「仙女と木こり」について、鄭鉉栢・女性家族部長官が、「この物語の主人公は天女を誘拐したレイプ犯だ」と述べ、各方面から批判を受けているそうです。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(以下、画像はクリックで拡大されます)

      韓国・仙女と木こり①

 これは、1970年3月5日、韓国が民話シリーズ第4集として発行した「仙女と木こり」のうち、主人公の木こりが水浴する3人の仙女のうち1人の羽衣を隠す場面が描かれています。1973-75年に発行された日本の昔ばなしシリーズは、3種の組み合わせで物語の序盤・中盤・終盤の各場面を取り上げた構成になっていますが、韓国の民話シリーズでは1話につき4種の構成で物語のあらすじを表現するスタイルになっています。今回ご紹介の「仙女と木こり」の場合は、上に挙げた切手に続いて、羽衣を失い、天に帰れなくなった仙女が木こりと夫婦になり、2人の子供をもうけて暮らす場面が取り上げられています。(下の画像)

      韓国・仙女と木こり②

 こうして、木こりは家族4人で幸せに暮らしていましたが、あるとき、酒に酔って妻に自分が隠した羽衣を見せ、事実を打ち明けてしまいます。すると、彼女は元の仙女に戻り、羽衣を身に着けると2人の子供とともに天に帰って行きました。(下の画像)

      韓国・仙女と木こり③

 最愛の妻を失った木こりは悲しみのあまり、まもなく亡くなりましたが、生前の善行のゆえに天国へ行き、妻子と再会して幸せに暮らすことになりました。なお、物語の結末については、木こりは七夕の日のみ家族との再会が許されたなどのヴァリエーションもあります。(下の画像)

      韓国・仙女と木こり④

 さて、「仙女と木こり」は、上述のように、いわゆる羽衣伝説の1バージョンであり、類似の民話は全世界のいたるところで古くから多くの人に親しまれていますが、一国の現職閣僚が、左派・リベラル的な視点から、それを公の取り上げて批判するケースなど、今回の韓国のケース以外には、寡聞にして聞いたことがありません。

 ところが、鄭長官は、先日、あるセミナーの席上、「仙女と木こり」の木こりが池で水浴びをしていた天女の衣を取り上げてしまう点を問題にし、「天女や、木こりとの間にできた2人の子どもたち、そして天女の両親の側からすると、この木こりは誘拐犯であり、レイプ犯だという見方もできる」、「この点は、男女平等を実現するという文脈では変更されるべきだろう」と主張。これに一部のフェミニスト活動家たちが同調したことから、過激なフェミニズムが猖獗を極めている現状を苦々しく思っていた多くの国民が反発を示したというわけです。

 ちなみに、元判事で弁護士のファン・ジュミョン氏は、「昔話の登場人物をそのような凶悪犯罪で非難するのは、ばかげている」としたうえで、「法律に照らし合わせて言えば、木こりが天女に性行為や同居を強要したことを示す証拠をこの物語から見つけることは困難だ」と結論付け、長官のような立場に立つなら、彼女こそ、木こりから名誉棄損で訴えられてもおかしくないと述べています。

 まぁ、鄭長官の「仙女と木こり」批判はとても正気の沙汰とは思えない内容なのですが、こういう極端な思考回路の持ち主が、現職の韓国政府閣僚として、いわゆる慰安婦問題を担当しているというのは、何とも頭の痛い話ですな。


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この記事のコメント
#2471 ^^
うさぎ お~いし かのかわ~♪=兎美味し皮剥ぎ~♪ 私の意訳ですが。まさか一国の大臣が似たようなことをカマスとは!さすがいわんふ~さん狂騒曲のお国です。しかし。男尊女卑のお国柄でも極端なフェミニズムが進行しているとは!思いも寄りませんでした。世界的な潮流なんでせうか。
2018-07-29 Sun 11:16 | URL | waravino #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
・waravino様
 まぁ、極端から極端に振れるお国柄ですので…
2019-01-11 Fri 14:18 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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