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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 エクアドル独立記念日
2018-08-10 Fri 00:46
 きょう(10日)は、1809年8月10日、キトの革命評議会により、スペインからの自立を求める自治運動が始まったことにちなみ、エクアドルの独立記念日です。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      エクアドル・アマゾン国家スローガン印

 これは、1941年6月14日、エクアドルの首都キトからブエノスアイレス宛に差し出された葉書で、隣国ペルーとの係争地としてのアマゾン地方の領有権を主張するスローガン“エクアドルはアマゾン国家だ”の紫印が押されているのがミソです。

 1822年、スペインの支配から解放されたエクアドルは“南部地区”として大コロンビア(現在のべネズエラコロンビア、エクアドル、パナマの全域と、ガイアナ、ブラジル、ペルーの一部に相当)に組み込まれました。しかし、大コロンビアは分裂し、1830年にエクアドルも独立を宣言。これに伴い、ペルーとの間でペデモンテ=モスケラ議定書が締結され、マラニョン=アマゾン水系が両国の国境と定められました。

 しかし、この国境線には両国ともに不満を持っていたため国境での小競り合いが続き、1936年になってようやく、当時の実効支配ラインを元にした国境が確定されます。

 ところが、その後も国境地帯では小規模な武力衝突が続いたため、1941年7月5日、マラニョン川以北のアマゾン地方の領有権を主張するペルーは、エクアドルが1936年の協定に違反して国境を侵犯したとしてエクアドルに宣戦布告します。今回ご紹介の葉書の紫印は、ペルーによる宣戦布告直前の1941年6月、情勢が緊迫する中で、アマゾン地域の領有権を主張するため、主として外国あての郵便物に押されたものです。

 さて、両国の国境紛争は、ペルー軍が大挙してサルミーヤ川を渡河し、エクアドルのオロ県に進むと、係争地域の全てにおいてエクアドル軍を破り、エクアドルのオロ県とロハ県の一部分(国土全体のおよそ6%)を占領。さらに、ペルー海軍はグアヤキル港を封鎖してエクアドル軍の補給を絶つなどして、戦局の帰趨はて数週間で決し、戦闘も事実上終了しました。

 その後、1941年1月、日米開戦を受けてリオデジャネイロで米州外相会議が開催されると、これに合わせて、米国、ブラジル、アルゼンチン、チリの四ヵ国の調停により、エクアドルとペルーの和平協定として「リオ議定書」が調印されます。

 同議定書により、エクアドルはアマゾン地域の20-25万平方キロの領土を喪失。このため、当時のカルロス・アロヨ・デル・リオ政権は窮地に追い込まれ、1944年5月、軍、共産党、社会党を巻き込んだ民衆蜂起により崩壊し、1939年の大統領選挙でアロヨに敗れた後、クーデターを企てて失敗し、コロンビアに亡命を余儀なくされていた元大統領のホセ・マリア・ヴェラスコ・イバーラが大統領に就任しました。

 その後、ペルー=エクアドル間の国境はしばらく落ち着いていましたが、第二次大戦後にアマゾン地域には金や原油が埋蔵されている可能性が高いことが判明すると、エクアドルはリオ議定書の無効を宣言し、1978年と1981年、議定書に定められた国境を侵犯。さらに、1995年1月26日、エクアドル軍がペルー軍駐屯地を襲撃したことでセネパ戦争が勃発します。

 これに対して、ペルー軍は侵攻してきたエクアドル軍を撃退し、同年2月28日、休戦協定として「モンテビデオ宣言」が結ばれました。さらに、1998年10月、ブラジリア議定書が調印されて、エクアドルはアマゾン地域を放棄することを承諾し、独立以来の国境紛争はようやく終結しました。


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