内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 満洲切手とモンゴル語
2006-09-24 Sun 00:46
 お相撲は千秋楽を待たずに、またもや朝青龍の優勝が決まってしまいました。というわけで、例によってモンゴルがらみのネタとして、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

満洲・国勢調査

 これは、1940年に満洲国が臨時国政調査を行った際に、宣伝キャンペーンのために発行した切手の1枚で、世帯主から調査員に対して申告書が提出される場面の下に、中国語とモンゴル語で宣伝の標語が入っています。

 満洲国の建国後、1935年と翌1936年の2回、首都新京をはじめ国内の78市で簡単な戸口調査が行われたものの、国内全域をカバーしたうえに、詳細な内容の人口調査は行われていませんでした。その後、国家建設が進められていったことから本格的な統計調査の必要が生じ、1940年に調査が行われることになりました。なお、今回の調査は、調査を行うための法的な整備が整っていなかったため、“臨時”の名が冠せられていましたが、実質的には本調査と変わらぬ内容のものです。

 ところで、満洲の地においては、今回の臨時国政調査以前に、本格的な住民調査が行われたことはなかったため、日本人以外の住民の大半は、そもそも、国政調査とは何かを理解していませんでした。このため、国勢調査の実務を担当する臨時国政調査事務局では、まず、国勢調査の趣旨を住民に説明することから始めたのですだが、“五族協和”の満洲国内では各民族がさまざまな言語を日常的に用いていることに加え、日本人・朝鮮人以外の識字率が必ずしも高くはないこともあって、調査の周知宣伝は思うように進みませんでした。

 そこで、臨時国政調査事務局は、ほとんど全ての国民が日常的に目にする切手を宣伝媒体として活用することを思いつき、切手の発行に繋がったというわけです。

 今回ご紹介している切手には、中国語とモンゴル語で国勢調査に際して用いられた標語が入れられています。これは、言語別の人口構成を考慮した場合の効果を考慮した結果で、第一公用語であった日本語を理解する人口は決して多くなかったと言う満洲国の現実が反映されているといってよいでしょう。

 ちなみに、調査に際して用いられた宣伝の標語は、中国文が「國勢調査之基 照實填不可虚」、日本文が「國の礎國勢調査 書いて出しませう有のまゝ」でしたが、切手のモンゴル語はこのうちの中国文の訳に近いようです。もっとも、僕はモンゴル語が読めないので、どなたか、その真偽をご指摘いただけると幸いです。

 さて、いよいよ明後日、9月26日に角川選書の一冊として刊行の拙著『満洲切手』では、“満蒙”と称されたかの地域の“蒙”の部分にもさまざまな角度からスポットを当ててみました。刊行の暁には、是非、お読みいただけると幸いです。
スポンサーサイト

別窓 | 満洲国 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
<< さよならコイズミ | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  10万アクセス>>
この記事のコメント
#323 出版おめでとうございます
実は、北朝鮮辞典が気に入って、内藤さん著作の中東の切手本とその他3冊をすぐにアマゾンで注文しちゃったですよv-238
でも、北朝鮮辞典の読み応えがありすぎて、まだ半分です。しかし、すごくディテイルが凝っていて、面白いです。歴史の勉強にもなります。満州本も買いに行きますね☆出版パーティーの御予定はありますか??盛大にお祝いしなきゃですね☆大連に行ったときに、旧満州鉄道に乗って瀋陽まで行きました。まだ動いていて、戦後の雰囲気がでているので感動しました。読むのが楽しみです。
2006-09-24 Sun 04:24 | URL | もえ(株アイドル) #r1JtuBk6[ 内容変更] | ∧top | under∨
 もえ(株アイドル)様
 先日はありがとうございました。また、拙著をご注文いただいたそうで、恐縮です。
 『満洲切手』の出版パーティは今のところ開催予定はないのですが、それを口実にオフ会でもやれたら楽しそうですね。また、何か集まる機会がありましたら、お声を掛けてください。では。
2006-09-24 Sun 18:12 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/