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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の切手:マリ
2018-10-11 Thu 00:32
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2018年9月19日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はマリ(と一部タンザニア)の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます) 

      マリ・トゥアレグ(1971)

 これは、1971年にマリが発行した伝統的な民族衣装の切手のうち、トゥアレグ人を取り上げた1枚です。

 トゥアレグ人は、ベルベル系の遊牧民で、アルジェリア、マリ、ニジェールを中心に100万から350万人が生活しているといわれています。

 これらの地域がフランスの支配下にあった時代、遊牧民であるトゥアレグ人は砂漠地帯を比較的自由に往来し、昔ながらのラクダの隊商で生計を立てていました。また、彼らの多くは、フランス植民地当局による西洋式の教育を拒んだため、いわゆる黒人のアフリカ系とは違って、官僚機構を担いうる知的エリート層が形成されませんでした。

 1960年代に入り、仏領西アフリカ連邦が解体され、連邦を構成していた各植民地が個別に独立国となると、トゥアレグ人の居住地域も、ニジェール、マリ、アルジェリア、リビア、ブルキナファソの各国に分割されることになりましたが、このうち、特に多くのトゥアレグ人口を抱えるようになったのが、マリとニジェールです。

 しかし、マリ、ニジェールの両国においてはフランス語のみが公用語とされ、トゥアレグ人の言語であるトゥアレグ語(タマシェク語)は排除されたため、植民地時代にフランス語教育を拒否してきたトゥアレグ人が、独立後の新国家で社会的な地位を得るのは困難でした。一方、トゥアレグ人の側も、新政府による“近代化”政策を重大な文化侵略と受け止めていました。さらに、新たに誕生した“国境”により、かつてのような自由な往来が(少なくとも建前上は)制限されるようになったこととも、トゥアレグ人にとっては不満でした。

 こうしたことから、マリでは独立以来いくどとなくトゥアレグ人の反乱が発生していますが、2009年の停戦合意の後も、一部のトゥアレグ人はこれを潔しとせず、リビアに逃れて傭兵部隊に加わっていました。しかし、2011年10月、カダフィ政権が崩壊すると、トゥアレグ人傭兵の大半は、混乱に乗じて持ち出した高性能の武器とともに、マリ北部、トンブクトゥ、ガオ、キダル3州をあわせたアザワド地域に帰還。2011年11月には“アザワド解放全国運動(MNLA)”を結成し、アザワド地域の独立を目標とした武装闘争を再開したことで、2012年の北部紛争に発展しました。このあたりについては、拙著『マリ近現代史』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。

 さて、『世界の切手コレクション』9月19日号の「世界の国々」では、2012年のマリ北部紛争についての長文コラムのほか、トンブクトゥ遺跡、サッカー選手サリフ・ケイタ、短命に終わったマリ連邦の切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当ですが、今回のマリ(と一部タンザニア)の次は、9月19日発売の同26日号でのコスタリカ(と一部ニカラグア)の特集、10月3日発売の同10日号でのテュニジア(と一部ザイール)の特集となっています。これらについては、順次、このブログでもご紹介する予定です。


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