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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 自由インド太平洋連盟、結成
2018-10-26 Fri 18:42
 中国によるウイグル人やチベット人、モンゴル人などへの弾圧に国際的な非難が集まる中、ノーベル平和賞候補になった世界の活動家らと少数民族の尊厳や権利の擁護を訴えてウイグル人女性人権活動家のラビア・カーディル氏が設立した国際連帯組織“自由インド太平洋連盟”の結成大会が、きょう(26日)、国会内で開かれました。というわけで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      イリ共和国(1949・自転車)

 これは、1949年にイリ政府が発行した切手です。

 中華人民共和国の“新疆ウイグル自治区”に相当する東トルキスタンの地域は、かつては中華民国の新疆省が置かれていましたが、1944年、その北部、イリ渓谷のグルジャ(伊寧市)で、ソ連軍の支援を受けたウイグル人の武装蜂起が発生。同年11月12日に中華民国からの独立と(第2次)東トルキスタン共和国の建国を宣言しました。

 東トルキスタン共和国は12月までにイリ地区の全域を占拠し、翌1945年にはカザフ系の武装勢力がアルタイ地区、タルバガタイ地区を占領し、東トルキスタン政権に合流。いわゆる三区政権が誕生します。

 1945年9月、東トルキスタン軍がウルムチへの進軍を開始すると、新疆省政府はソ連に和平の仲介を要請。東トルキスタンの頭越しに行われた中ソ交渉を経て、ソ連は東トルキスタン主席のアリハーン・トラを拘束して、東トルキスタンに圧力をかけました。このため、1946年、東トルキスタンはソ連の意を汲んで新疆省政府に合流し、東トルキスタン・イリ専署(イリ専区参議会)と改称。 新疆省政府と東トルキスタン・イリ専署が合同して新疆省連合政府が成立します。

 しかし、連合政府は内部対立から1947年5月頃に崩壊。副主席アフメトジャンをはじめとする旧共和国派はイリ地方に退去し、旧東トルキスタン共和国の領域の支配を再開。さらに、翌6月には、ソ連の支援を受けたモンゴル人民軍と中華民国軍が新疆で武力衝突しています。 今回ご紹介の切手は、講じた状況の下、イリ政府が自らの存在を誇示するために発行したものです。

 一方、1949年、国共内戦の帰趨がほぼ明らかになる中で、中国共産党は東トルキスタンに鄧力群を派遣し、イリ政府との交渉を開始。毛沢東はイリ政府首脳陣を北京の政治協商会議に招きましたが、8月27日、北京行きの飛行機に乗った3地域首脳11人は、そのままソ連領内アルマトイに連行・殺害され、東トルキスタン政府は事実上消滅。残されたイリ政府幹部のセイプディン・エズィズィは、陸路で北京へ赴き、政治協商会議に参加して共産党への服属を表明せざるをえなくなりました。また、9月26日にはブルハン・シャヒディら新疆省政府幹部も共産党政府への服属を表明しています。

 これを受けて、1949年末までに中国人民解放軍が新疆全域に展開し、東トルキスタンは完全に中華人民共和国に統合されてしまいました。

 現在、東トルキスタンはチベットと並んで、中国にとって最も深刻な“民族問題”の一つとなっており、中国共産政府による人権侵害の象徴的な存在となっています。今日の結成大会では、中国当局にウイグルやチベットなどで続ける弾圧行為や環境破壊をやめさせることなどを柱とした活動計画が決定されましたが、終了後の記者会見での「日中両国が経済協力関係を維持するのは当然だが、中国の弾圧は全人類に対する罪だ。安倍晋三首相には中国政府に対し、ぜひ問いただしてもらいたい」とのラビア・カーディル氏の言葉は、もっと多くの人にも知られても良いのではないかと思います。


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