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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イエメンに停戦監視団
2019-01-17 Thu 01:50
 国連安保理は、きのう(16日)、昨年12月にスウェーデンで行われたイエメン内戦の和平協議での合意を支援し、停戦監視のための特別政治派遣団を半年間配備する英主導の決議案を全会一致で採択しました。というわけで、イエメンと英国の歴史的な関係を示すものとして、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      南アラビア連邦・カバー

 これは、かつてイエメン南部に存在した英保護領、南アラビア連邦が発行した赤十字100年の記念切手が貼られた国内便のカバーです。

 アラビア半島の南岸、現在のイエメン共和国南部は、かつては群小首長国が割拠する地域でしたが、19世紀、首長国同士の争いに調停者として介入した英国は、インドとのシーレーン上の重要拠点であるアデン港を直轄植民地としたほか、周囲の首長国を保護領としました。ただし、英国はアデン港を確保しさえすればよいとの方針であったため、周辺の首長国に対しては年金を支給して懐柔し、アデンを攻撃しない限りにおいては放任するとの姿勢をとっていました。

 1956年、エジプトのナセル政権がスエズ運河を国有化し、英仏の干渉を退けて第二次中東戦争に勝利すると、ナセルの掲げるアラブ民族主義の権威はアラブ世界で絶大なものとなり、1958年にはイエメン王国(現在のイエメン共和国北部)がアラブ連合に加盟し、“占領されたアデン”の奪還を主張してアデン保護領に駐留の英軍を攻撃し始めます。

 このため、1959年、英国はアデン保護領の首長たちを徐々に組織化し、南アラブ首長国連邦を結成。さらに、1960年の国連総会で「植民地独立付与宣言」が決議されたことを受けて、1962年には南アラブ首長国連邦を南アラビア連邦に発展させました。

 さらに、1962年9月、北イエメンで、イマーム・アフマドの死に伴う政権交代の隙をつくかたちでクーデターが発生し、伝統的なザイド派(シーア派の一派)イスラムに基づく王朝が倒れ、“イエメン・アラブ共和国”の革命政権が樹立されます。

 王党派がサウジアラビアとの国境を越えた山岳地帯に逃れて抵抗を続けると、革命政権はエジプトに支援を要請。これに対して、サウジアラビアは、エジプトに始まるアラブ民族主義の共和革命がついにアラビア半島へと上陸したことで深刻な脅威を感じて王党派を支援し、イエメン内戦は、エジプトとサウジアラビアの代理戦争として展開することになります。

 このため、内戦が南アラビア連邦に波及することを恐れた英国は、1963年、直轄植民地のアデン港も同連邦に加盟させ、外交と防衛を除く自治権を与えたうえで、1968年までの独立を約束しました。

 ところが、ある程度近代化されたアデンとそれ以外の首長国との間の文化的・経済的格差が大きかったことから、アデン住民は南アラビア連邦に組み込まれたことに強く反発。一部は、占領下南イエメン解放戦線(FLOSY)や、南イエメン民族解放戦線(NLF)などの武装組織を結成し、英国人の立法評議会議長や親英派アラブへのテロを展開します。

 その後、より急進的な社会主義路線を掲げるNLFが勢力を拡大し、1967年10月、アデン港を占領。11月には英国は南イエメンから撤退して南アラビア連邦は解体され、代わってハドラマウト保護領やカラマン島などを加えた英領アデ ン全域は、NLFの下で社会主義政権の“南イエメン人民共和国”として独立。以後、1990年の南北イエメン統一まで存続することになります。


★★ 昭和12年学会・第1回公開研究会 ★★

 1月19日(土)、14:00-17:30、東京・神保町のハロー貸会議室 神保町で、昭和12年学会の第1回公開研究会が開催されます。内藤は、チャンネルくららでおなじみの柏原竜一先生とともに登壇し、「昭和切手の発行」(仮題)としてお話しする予定です。

 参加費は、会員が1000円、非会員が3000円。皆様、よろしくお願いします。 


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      表紙帯つき 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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      ゲバラ本・仮書影

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