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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ロリータ・エクスプレスの行き先
2019-07-09 Tue 01:55
 米国の大富豪で、40人もの未成年売春を斡旋し、傷つけた罪で13か月の服役した前科のあるジェフリー・エプスタインが、6日(現地時間)、14歳の少女を含む未成年者に対する人身売買容疑であらためて逮捕・起訴されました。エプスタインは、彼が所有する米領ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島と米本土を自家用ジェット(通称“ロリータ・エクスプレス”)で往来しつつ、性的目的で未成年の男女を人身売買し、その顧客には、ビル・クリントン元大統領を含む各界の著名人も多数含まれていたとの疑惑がもたれています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      米・ヴァージン諸島領有20年

 これは、1937年に米国が発行した米領ヴァージン諸島領有20周年の記念切手です。

 西インド諸島のプエルト・リコの東に位置するヴァージン諸島は、かつては、スペイン、デンマーク、フランス、英国が分割して領有していました。このうち、最も西側のビエケス島やクレブラ島などは、当初はスペイン領でしたが、1898年の米西戦争によって米領となり、現在はプエルト・リコの一部となっています。一方、最も東側のトルトラ島とヴァージン・ゴルダ島などは現在も英領のままです。

 これに対して、中間地域のセント・トーマス島とセント・ジョン島などは、1666年にデンマークが領有権を獲得。さらに、残るセント・クロイ島に関しても、もともとはフランス領でしたが、1733年にデンマークが買収し、先の2島を中心とした地域と併せて、デンマーク領西インド諸島 が成立しました。

 デンマーク領西インド諸島の中心となったセント・トーマス島は、1851年から1885年にかけて、スペイン領ヴァージン諸島との交易の中心となっていました。郵便に関しては、1856年以降、デンマーク領西インド名義の正刷切手が使用されましたが、これと並行して、1867年から1879年までは、英国局も設けられ、英本国の切手が持ち込まれ、“C51”の番号が入った抹消印が使用されています。

 その後、第一次世界大戦中の1917年、米国はパナマ運河をドイツ軍から防衛するため、デンマークからデンマーク領西インド諸島を 2500 万ドルで購入。これが、現在の米領ヴァージン諸島のルーツとなりました。

 ただし、米領ヴァージン諸島は、行政的には、“非法人地域”の扱いとされているため、市町村に相当する基礎自治体は存在せず、したがって、住民には、米国の市民権が与えられ、本土への渡航や本土での就職は自由であるものの、大統領および連邦議会議員の選挙権は認められていない(ただし、連邦下院に、投票権のない代表を 1 名参加させる権利は認められています)などの制約があります。

 こうした事情のゆえに、米領ヴァージン諸島の島々の中には、米国当局の手が届きにくい場所もあり、エプスタインはそれを利用して悪事を働いていたというわけです。エプスタインの“ロリータ・エクスプレス”の利用者は、クリントン元大統領の他にも、米国の政財界、芸能界のみならず、英国王室や日本、中国、香港などにも、数多く存在していたとみられており、今後の捜査状況によっては、全世界規模の大スキャンダルに発展する可能性も大いにありそうです。


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      全日展2019ポスター

 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。


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