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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 キリストの飼い葉おけ、ベツレヘムへ
2019-12-02 Mon 01:32
 イエス・キリストが誕生した時に寝かされていた飼い葉おけの一部とされる木片が、11月30日(現地時間)、イタリアから1300年超の時を経て生誕地のベツレヘムに里帰りしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      パレスチナ2000(ジオット)

 これは、1999年12月8日、パレスチナ自治政府が同年のクリスマス切手と“ベツレヘム2000”のキャンペーン切手を兼ねて発行したもので、13-14世紀のイタリア人画家、ジョット・ディ・ボンドーネがパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂に描いたフレスコ壁画「キリスト降誕図」のうち、聖母マリアが今まさにキリストを飼い葉おけに寝かせようとしている部分が取り上げられています。

 さて、今回、ベツレヘムに里帰りした木片は、幅1センチ、長さ2.5センチほどの大きさで、640年ごろ、当時のエルサレム総主教ソフロニウスが贈り物としてローマ教皇テオドルス1世に贈り、以後、ローマで保管されていました。2018年12月、ヴァティカンを訪問したパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース議長フランシスコ教皇に返還を要請。これを受けて、今回、ベツレヘムに“返還”され、今後はベツレヘムにとどめ置かれることになりました。

 今回ご紹介の切手の発行名目の一つとなった“ベツレヘム2000”とは、1999年12月から2001年のイースターまでの期間、西暦の新千年紀到来にあわせて、キリスト生誕の地とされるベツレヘムで各種の記念イベントを大々的に行おうという国連主導のプロジェクトで、これを契機に、ベツレヘムを中心に、パレスチナ自治政府支配下のヨルダン川西岸地区に全世界から多くの観光客を誘致するとともに、国際社会の支援で同地域の大規模再開発を進め、パレスチナ経済の浮揚を図る意図も込められていました。 

 ところが、期間中の、2000年9月28日、イスラエルの右派政党、リクードの党首アリエル・シャロンが、当時のバラック政権の軟弱姿勢を批判するため、エルサレムの神殿の丘に登り、岩のドームの前で「エルサレムは全てイスラエルのものだ」と宣言。パレスチナ人を挑発したことから、第二次インティファーダが発生。情勢が一挙に不安定化したことから、“ベツレヘム2000”は、結果的に尻すぼみに終わってしまいました。

 ちなみに、このあたりの事情については、拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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