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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “真珠湾”の日
2019-12-08 Sun 01:22
 きょう(8日)は“真珠湾”の日です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ニカラグア・ルーズヴェルト追悼(対日宣戦布告)
 
 これは、1946年に中米のニカラグアが発行した“フランクリン・ルーズヴェルト追悼”の切手のうち、彼の実績のひとつとして、対日宣戦布告所への署名場面を取り上げた1枚です。

 ニカラグアでは、1927年、保守党のアドルフォ・ディアス政権に対して自由党のホセ・マリア・モンカーダらが攻撃を開始して内戦が勃発。この内戦はすぐに停戦となりましたが、停戦後の選挙監視のため米海兵隊が上陸すると、これに反発した反政府軍のアウグスト・セサル・サンディーノはニカラグア国民主権防衛軍を率いて米軍を攻撃し、以後、米軍が撤退する1933年まで、サンディーノ軍と米軍および米軍の支援を受けたニカラグア国家警備隊との間でゲリラ戦が展開されました。

 米軍撤退後の1934年、米国の内諾を得た国家警備隊長のアナスタシオ・ソモサ・ガルシア(タチョ)はサンディーノを暗殺。さらに、1936年にはクーデターを起こしてサカサ大統領を追放し、自ら大統領に就任します。

 1941年12月、日本軍による真珠湾攻撃を受けて米国が第二次世界大戦に参戦すると、タチョは直ちに枢軸国に宣戦布告し、米国から100万ドルの軍事援助を獲得するとともに、ドイツ人・イタリア人の資産を接収。政府が接収した敵国人の資産はソモサ一族に格安で売却され、タチョは莫大な利益を得るとともに、彼自身も独裁者としてニカラグア政界に君臨しました。

 第二次大戦への米国の参戦を奇貨として米国にすり寄ることで莫大な援助を獲得し、それを横領することで私腹を肥やしていたタチョ政権にとっては、今回ご紹介の切手に描かれている“ルーズヴェルト大統領の対日宣戦布告”は、まさに、自分たちの利嫌の源ともいうべき出来事だったわけで、それゆえ、追悼切手に取り上げて感謝の意を表するくらいは当然の仕儀だったのでしょう。ちなみに、ルーズヴェルト本人はタチョについて、「あの男はろくでなしだが、われわれの側のろくでなしだ」と語っていたそうです。

 第二次大戦の終結直前にルーズヴェルトは現職大統領のまま亡くなりますが、タチョによる国家の私物化はますます激しくなり、1956年、救国の情に駆られた詩人リゴベルト・ロペスはタチョを暗殺します。しかし、タチョの長男のルイス・ソモサ・デバイレが後継大統領となり、ニカラグアはソモサ家による王朝化。さらに、ルイスが1963年に病死すると、国政の実権は弟のアナスタシオ・ソモサ・デバイレ(タチート)に引き継がれ、タチートは国家警備隊の暴力を背景に国家の私物化をいっそう進めました。

 こうした状況の下、1961年、キューバ革命の影響を受けたトマス・ボルヘやカルロス・フォンセカらは、左翼系の反政府組織として、タチョに殺害されたサンディーノの名を冠したサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を組織し、1963年以降、本格的な反政府武装闘争を開始することになります。当初、彼らの闘争は、米国の支援を受けたソモサ王朝に全く歯が立ちませんでしたが、1972年のマナグア大地震に際して世界中から送られた救援物資をソモサ一派が着服して全世界から不興を買ったことを機に、次第に政権に不満を持つ国民の支持を集めるようになり、1979年7月19日、ソモサ政権を打倒してニカラグア革命を達成することになります。

 なお、FSLNとニカラグアの現代史については、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』でも、主としてキューバとの関連で触れておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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