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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 モンゴル民主化30年
2019-12-10 Tue 10:41
1989年12月10日にモンゴルの民主化が始まってから、きょうで30周年です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      モンゴル・ゾリグ

 これは、1998年、モンゴルが発行したサンジャースレンギーン・ゾリクの追悼切手シートです。

 モンゴルでは、1950年代以来、人民革命党(共産党)のユムジャーギン・ツェデンバルによる独裁政権が続いていました。ツェデンバルは1984年に病気で引退し、後任の党書記長となったジャムビィン・バトムンフは、ソ連のゴルバチョフに倣った体制内改革を進め、1987年の経済改革では、国営企業の独立採算性も導入します。

 しかし、ソ連同様、国民の民主化・自由化を求める声は日に日に高まり、ベルリンの壁が崩壊を受けて、東欧社会主義政権の崩壊が相次ぎ、米ソ首脳が東西冷戦の終結を宣言する中で、1989年12月10日、サンジャースレンギーン・ゾリクらによる大規模な民主化要求デモが発生します。

 ゾリグは、1962年4月20日、ウランバートル生まれ。1980-85年のモスクワ大学での留学から帰国後、モンゴル革命青年連盟講師を経て、1986年以降、モンゴル国立大学講師として、科学的共産主義の教育・研究を担当する傍ら、1988年以降、反体制派の青年を糾合した“新世代”グループを設立し、民主化運動を展開していました。

 1989年12月10日、 ゾリグら約200人のグループは、市場経済導入と自由選挙を求める民主化デモを起こし、翌1990年1月以降、ウランバートル中心部のスフバートル広場での週末デモを開始します。2月に入ると週末デモは拡大し、群集と包囲する兵士との間に乱闘も発生。このとき、ゾリグは友人の肩に乗り、マイクを持ち、群衆に対して平静を維持するように呼びかけました。今回ご紹介のシート中央の切手は、モンゴル民主化の象徴として、この時のゾリグの姿を描いたものです。

 ゾリグの呼びかけにより、流血の事態は避けられ、モンゴル人民革命党政権は「社会主義は堅持するが、対話はする」という譲歩を余儀なくされます。そして、翌3月、バトムンフ書記長、ドマーギン・ソドノム首相をはじめとするモンゴル人民革命党政治局は総辞職し、外国経済関係大臣だった穏健派のポンサルマーギーン・オチルバトが新書記長に就任。オチルバトは、国民の民主化要求に応えるかたちで、複数政党制と大統領制を採用するとともに、貿易の自由化とソ連軍の撤兵を実現しました。

 モンゴルの非共産化が進む中、ゾリグはモンゴル民主連盟を結成し、自ら議長に就任。1990年6月には、人民大会議(人民大フラル)代議員に当選し、1991年8月、ソ連保守派のクーデターが起こると、直ちに国家非常事態委員会やソ連共産党保守派を非難する声明を出しています。
 
 1992年、新憲法の制定により、モンゴルの制度面での民主化が完了。新憲法では、大統領は40歳以上との規定があったため、当時30歳だったゾリグは大統領選挙には出馬できず、国民大会議(国民大フラル)代議員の選挙に立候補して当選。民主派が人民革命党を破って勝利した1996年の総選挙では、政党連合民主同盟連合(モンゴル民主連合)に参加して再選を果たし、非人民革命党政権の樹立に参画し、1998年には社会資本整備大臣として入閣しました。

 ところが、民主同盟連合政権による急激な市場経済化政策はモンゴル経済を大いに混乱させただけでなく、寄り合い所帯だった政権内部の対立も深刻化。1998年4月23日、八方ふさがりとなったメンダサイハン・エンフサイハン首相は内閣総辞職に追い込まれます。

 後継首相に就任したツァヒアギーン・エルベグドルジ(国民大会議議長)は、政権発足直後、国営の復興銀行を民間のゴロムト銀行に合併する決定を下したものの、復興銀行には国会議長、首相を筆頭とする政府高官による融資斡旋行為や経営陣の資産乱費や背任容疑などがあったことや、そもそも、合併じたいが国有財産および地方公共団体財産法や民法、銀行法に照らして違法であったことから、エルベグドルジ内閣は総辞職に追い込まれます。

 こうした中で、ゾリグは人民革命党(1997年5月の大統領選挙では、同党のナツァギーン・バガバンディが当選していました)と民主同盟連合の双方が合意できる人物として首相候補として挙げられていましたが、1998年10月5日に首相候補決定が発表される直前の2日、何者かによって自宅で殺害されました。今回ご紹介の切手は、これを受けて発行されたものです。

 なお、ゾリグ暗殺については、彼が進めようとしていた汚職・政治腐敗追放キャンペーンを阻止しようとした一派による犯行との見方も根強いのですが、現在に至るまで実行犯が特定されていないこともあって、真相は藪の中です。
 

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