内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ドバイ拾遺
2006-11-22 Wed 01:02
 昨日(20日)の記事では、ドバイで使われた切手が、英領インド切手パキスタン切手→イギリス東アラビア郵政庁の加刷切手→休戦協定諸国切手(正刷)ドバイ切手→UAE(アラブ首長国連邦)切手という変遷をたどってきたとご説明しましたが、記事を書いている過程で、現在のUAE切手はともかく、イギリス東アラブ郵政庁時代の切手についてだけ、このブログではこれまでご紹介してこなかったことに気がつきました。

 こうなると、収集家の悲しい性としては、やはり、一つだけ欠けてしまってコンプリートにならないというのは気分が悪いので、今日はこんなものを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

ドバイ・加刷切手カバー

 これは、1950年4月11日、ドバイからボンベイ宛に差し出されたカバー(封筒)で、イギリス切手に現地通貨の額面を加刷した切手(6アンナ)が貼られています。

 1947年に英領インドがインドとパキスタンに分離・独立するまで、イギリスの保護下に置かれていたドバイでは、英領インド切手がそのまま使われていました。その後、インド・パキスタンの分離・独立に伴い、暫定的にドバイの郵便業務はパキスタン郵政の管轄下におかれますが、1948年4月には、周辺のマスカット(オマーン)やバハレーン、カタール等とともに、イギリスの東アラビア郵政庁の管轄下に置かれました。

 これに伴い、東アラビア郵政庁の管轄下では、イギリス本国の切手に現地通貨(インド・ルピーと連動したガルフ・ルピー)を加刷した切手が使用されることになりました。今回のカバーに貼られているのも、そうした加刷切手です。

 加刷切手の使用期間は、地域によってばらつきがあるのですが、ドバイの場合は1948年4月1日から1961年1月6日までで、それ以降は、休戦協定諸国の正刷切手が使用されています。なお、東アラビア郵政庁の加刷切手は、同じものが各地で使われていますから、ドバイでの使用例であることを確認するためには、押されている消印の地名がきちんと読めることが大切です。

 いずれにせよ、歴史的には使われている切手のバリエーションが豊富なわけですから、ドバイを中心に湾岸地域の郵便史を真面目に取り組んでみたら面白いコレクションができるのは間違いありません。実際、僕もちょっとは手を染めてみているのですが、なにぶんにも、残されているブツが少ないため、展覧会に出品できるレベルの作品を作るのは、結構きついのが実情です。

 聞くところによると、ドバイでは2009年にも国際展があるのだとか。今回のドバイ展には参加できませんでしたが、次回は、湾岸地域の純然たる郵便史コレクションは無理でも、たとえば、「アラビア半島現代史」というタイトルで、この地域の郵便史を踏まえたテーマティク・コレクションを出品したいものだと、なんとなく考えている今日この頃です。

 なお、ドバイを含む“アラブ土侯国”についての郵便史的な事情についてご興味をお持ちの方は、拙著『中東の誕生』をご一読いただけると幸いです。
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