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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “アンティファ”のラベル
2020-06-02 Tue 03:32
 先月25日(以下、日付などは現地時間)、米ミネソタ州ミネアポリスで詐欺容疑で拘束された黒人男性が、拘束時に警官に膝で首を押さえつけられたことが原因で死亡した事件を巡り、全米に抗議行動が拡大して暴動にエスカレートし、過激化している問題で、トランプ大統領は、31日、反ファシズムを標榜する極左過激派の“アンティファ(Antifa)”が平和的なデモを乗っ取り暴力化させているとして、アンティファを“テロ組織”に指定する意向を示しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

     スペイン・ANTIFAラベル
 
 これは、スペイン内戦中の1937年、共和国派の支配下にあったメノルカ島のヴィラカルロス(現エスカステル)で作られた“反ファシスト委員会”のラベル(義捐証紙)で、反ファシストを意味する“ANTIFASCISTA”の文字もしっかり入っています。

 1936年7月に始まったスペイン内戦では、共和国側フランコ側がそれぞれ独自の切手を発行し、支配地域で使用させていましたが、それとは別に、戦闘資金を集めるためのローカル切手(戦時税切手)やラベルが各地で独自に発行され、郵便物にも貼られることがありました。

 共和国政府の郵政は、こうしたローカル・ラベルの発行を表向きには認めていませんでしたし、それを“戦時税切手”のようなかたちで強制的に郵便物に貼らせるということもなかったのですが、実際には、カタルーニャ地方を中心に、各地で戦意高揚と資金集めを兼ねたローカル・ラベルが盛んに発行されました。

 今回ご紹介のラベルが発行されたヴィラカルロスは、西地中海のバレアス諸島北東部、メノルカ島の東部にあります。スペイン内戦時には、バレアス諸島の他の島は早い時期からフランコ側が制圧していましたが、メノルカ島は共和国側が内戦末期の1939年まで維持し続けていました。

 さて、もともと、“アンティ・ファシスト(ファシズム)”は、イタリアのベニート・ムッソリーニ体制に対する反対運動を意味していましたが、第二次大戦の時代を通じて、イタリアのファシスト党やドイツのナチスなど、主として枢軸側の独裁国家への反政府活動を指す総称となりました。今回ご紹介のラベルを発行した反フランコ陣営もそのひとつです。

 なお、ファシズムを「政府や議会よりも政権党の意思決定が優先される一党独裁体制」と定義するなら、旧ソ連をはじめとする共産主義諸国もファシスト国家に他ならず、反共の立場から彼らに抵抗した人々も“反ファシスト”となるはずなのですが、現実には、“反ファシスト”を名乗っているのは、労働組合の活動家、社会主義者、無政府主義者、共産主義者などの左派勢力にほぼ限定されています。

 現在、“アンティファ”を称する諸組織の源流は、1970-80年代、欧米で人種差別的な白人至上主義に対するカウンターとして生じたものと見れています。特に、東西冷戦終結後、ドイツのネオナチなど極右の勃興に対するカウンターとして“アンティファ”も勢力を拡大。米国では左派系のパンクたちがその流れに追従し、人種差別との戦いを標榜する“反差別主義行動(ARA:Anti-Racism Action)”を構成するようになりました。

 1990年代に入ると、ARAは「彼らが行くところに我々も行く」と称して、白人至上主義団体への妨害行動を主な活動とするようになり、次第に過激化。黒いマスクや服装などに身を包み、ポリティカル・コレクトネスの観点から“差別”との批判を受けると反論しづらい米国社会の風潮を悪用し、攻撃対象を恣意的に“人種差別”、“極右”、“ファシズム”と認定したうえで、敵に対する暴力は正当化されうるなどとして、国際会合の会場周辺などで警官隊を襲撃したり、車両や商店を焼き打ちしたりするなどをの乱暴狼藉をくりかえしてきました。

 特に、2017年にはヴァージニア州シャーロッツビルで、南北戦争時の南軍指導者、ロバート・E・リー将軍の銅像の撤去問題を巡り、撤去反対派は白人至上主義者であると決めつけ(たしかに、KKKなども抗議行動を行っていましたが)、反対派を暴力的に襲撃し、死亡者が出たことで、一躍その存在が広く知られるようになります。そして、その結果、一般の米国市民の間では、アンティファは反社会的な“極左暴力集団”とのだという認識が広がっていました。

 アンティファには統一的な組織があるわけではなく、複数のグループが緩やかに結合して暴力集団を構成しているうえ、明確なリーダーの存在も確認されていないため、テロ組織として根絶することは困難という事情もありましたが、現在、全米各地で起きている暴動でも、黒装束のアンティファが破壊と暴力を繰り返しているようすが多くの映像で確認されており、ホワイトハウス周辺にも彼らの攻撃が及んできて、大統領本人も地下壕への一時避難を余儀なくされたことから、ようやく、米政府もテロ集団の撲滅に向けて重い腰を上げた格好です。

 反ファシズムや反差別を語る卑劣なテロリスト集団には、ぜひとも、断固たる措置を取っていただきたいものです。


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