2021-02-23 Tue 01:49
きょう(23日)は天皇誕生日です。というわけで、今上陛下に関する切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、2016年にブータンが発行した“ブータン・日本外交関係樹立30年”の記念切手のうち、訪日したジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王ご夫妻とともに、皇太子時代の今上陛下が取り上げられています。 日本とブータンの正式な外交関係の樹立は1986年のことですが、事実上の鎖国体制にあったブータンと日本との交流は、1957年には大阪府立大学助教授(当時)の中尾佐助が、お忍びで京都を訪れていた当時の王妃に直談判し、翌1958年、日本人として初めて入国を許されたことから始まります。 ブータンの基幹産業は農業で、現在でも労働人口の約6割が地域自給自足型の農業に従事し、低地部ではコメ、国土の50%を超える山岳部では果樹などを栽培していますが、日本との交流が始まった1950-60年代は、鎖国政策の影響もあり、伝統的な農業がそのまま維持されており、収穫が非常に少ないものでした。 そこで、1964年、海外技術協力事業団(現・国際協力機構)は農業技術者として西岡京治を派遣。西岡は日本の農業技術をブータンに導入し、翌1965年には飛躍的な増産に成功。その後もブータン農業の改善に尽くし、1980年には当時のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王から“ダショー(最高の人)”の称号を授与されました。その後、1984年には、日本による“食糧増産援助(2KR)”が始まっています。 こうした前史を経て、1986年、両国の正式な外交関係が樹立され、友好関係が続いていますが、特に、ブータン王室は親日の気風が強く、1989年の昭和天皇崩御に際しては、ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王が自ら大喪の礼に参列されただけでなく、ブータン国家として1ヶ月間の喪に服しています。 また、2011年3月12日には、現在の国王陛下が前日に発生した東日本大震災の“供養祭”を執り行われ、18日には義援金100万ドルが日本に贈られました。その後、同年11月15日、ワンチュク現国王が結婚したばかりのジェツン・ペマ王妃とともに震災後初の国賓として来日された際、体調不良でご入院中の上皇陛下(当時は天皇陛下)に代わり、当時皇太子だった今上陛下が、ブータンからの義援金と国王自ら被災者のための法要を営まれたことへの謝意を国王に示されました。 なお、今回ご紹介の切手は、国王訪日の際、皇居・宮殿東庭で行われた歓迎式典に際して、国王ご夫妻とともに、天皇の名代として参加された皇太子時代の今上陛下が儀仗隊の栄誉礼を受ける場面を撮影した写真が元になっています。 ★★ テーマティク切手展、開催中! ★★ ![]() 2021年2月13-28日(土~日) *ご好評につき、会期(公開期間)を1週間延長しました! テーマティク研究会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。 通常は東京・目白の切手の博物館を会場として開催しておりますが、ことしは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEB上でコレクションを閲覧できる「オンライン切手展」となりました。ぜひ、こちらをクリックしてご覧ください。 ★★ 『世界はいつでも不安定』 3月10日発売!★★ ![]() 出版社からのコメント 教えて内藤先生。 地上波では絶対に伝えられない国際情勢の事実をユーモアを交えて解説! チャンネルくらら人気番組「内藤陽介の世界を読む」が完全書籍化! ご予約は、アマゾンまたは honto で受付中です。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ ![]() 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 スポンサーサイト
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