内藤陽介 Yosuke NAITO
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 『郵趣』今月の表紙:旧韓国の鷲切手
2006-12-30 Sat 00:45
 (財)日本郵趣協会の機関誌『郵趣』の2007年1月号ができあがりました。『郵趣』では、毎月、表紙に“名品”と評判の高い切手を取り上げていて、僕が簡単な解説文をつけていますが、今月は、こんなモノを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

鷲切手

 これは、旧大韓帝国の“鷲切手”。1910年の日韓併合に先立ち、1905年7月1日、当時の大韓帝国の郵政は日本によって接収されてしまうのですが、その旧韓国郵政の最後のシリーズとして1903年10月1日に発行された通常切手です。

 切手に描かれている鳥は、以前は鷹と考えられていましたが、近年、韓国では鷲とするのが一般的なようです。たしかに、韓国空軍や延世大学(韓国の慶応大学といわれる名門大学です)も鷹ではなく鷲をシンボルとしていますから、かの国の文化的な背景に照らせば、鷹より鷲の方がふさわしいのかな、とも思います。

 旧韓国の郵政は、1884年にいったんは創業されたものの甲申事変によって途絶し、1895年7月22日(旧暦では6月1日)、日清戦争の戦場となっている中で行われた近代化改革(乙未改革)によって、10年以上のブランクを経てようやく再開されました。ちなみに、このとき、再開された朝鮮郵政の切手製造を担当したのは、日本の印刷局ではなく、アメリカの民間会社アンドリュー・B・グラハム紙幣印刷会社(Andrew B. Graham Bank Notes Co.)です。

 今回ご紹介している鷲切手は、当時、大韓帝国駅逓司の顧問であったフランス人のクレマンセーの提言を受けて、フランスの政府印刷局で印刷されたもので、額面は2厘から2円(韓国通貨のウォンは“円”の現地語読み)15銭(韓国語読みではチョン)以上の高額は地色を全面印刷した上に図案部分を刷った二色刷となっています。

 切手だけを見ている限り、同時代の日本の菊切手に比べても印刷物としての水準は遜色なく、とても日本に併合される直前の国が発行したとは思えない出来栄えです。

 なお、1905年7月の大韓郵政の接収後も、発行済みの切手のうちの公衆手持ち分はしばらくは使用できましたが、それらは日韓併合前年の1909年8月に使用禁止となっています。

 さて、今月の『郵趣』は、なんといっても11月の<JAPEX>の特集が見所です。特に、恒例となった巻頭カラーでの名品集は、眼福モノの野マテリアルが目白押しで、テレビでいえば年末年始の特番に相当する豪華企画と言ってもいいかもしれません。

 是非、ご一読いただけると幸いです。
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