内藤陽介 Yosuke NAITO
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 赤十字のイノシシ
2007-01-03 Wed 00:49
 まだ三が日ですから、お正月ネタで行きましょう。今年の干支であるイノシシの切手の中から、こんな1枚を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

北ボルネオのイノシシ(赤十字加刷)

 イギリス時代の北ボルネオの切手はデザイン・印刷ともに実に素晴らしいものが多く、今回ご紹介している1909年に発行の10セント切手も、イノシシの切手の中では定番中の定番といってよいものです。おそらく、今年の年賀状にこの切手の画像を使ったという収集家の方も多かったのではないかと思います。

 で、今日の切手は、その10セント切手に第1次大戦末期の1918年10月に赤十字の付加金加刷を施して発行された1枚です。加刷の文字は、赤十字をプラスの記号に見立てて4セントの付加金額を表示したもので、今回の切手は郵便局の窓口では14セントで発売されたということになります。

 第1次大戦そのものは、この切手が発行されて間もなく、1918年11月11日に休戦協定が成立するのですが、赤十字の活動というのは、戦時のみならず、戦後の復員や傷病兵たちの看護といったことにも及んでいるわけですから、戦争が終っても赤十字の活動資金を集める必要がなくなるわけではありません。

 その意味では、今回の付加金つき切手も決して“遅すぎる発行”ということにはならないのですが、現地の住民にとっては、遠くヨーロッパでの戦われていたイギリス人の戦争に対して協力を求められても、なかなか実感がわかなかったというのが正直なところだったんじゃなかろうかと思います。もっとも、そうであればこそ、遠くはなれたボルネオの地の人々までもが、こういう形でイギリスの戦争に協力させられていたというところに、総力戦というものの本質が垣間見えているわけですが…。

 なお、戦時下の国民に戦争への協力を求めるための手段として、切手や郵便物がどのように使われているかという点については、去年、ちくま新書の一冊として刊行した拙著『これが戦争だ!』でも、簡単にではありますが、まとめてみました。機会があれば、是非、ご一読いただけると幸いです。
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