fc2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 スワローズが20年ぶり日本一
2021-11-28 Sun 01:02
 プロ野球の日本シリーズは、ヤクルト・スワローズがオリックス・バファローズを4勝2敗で下して20年ぶりの日本一となりました。というわけで、燕を描いた切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      郵便創始75年1円

 これは、1946年12月12日、戦後最初の記念切手として発行された“郵便創始75年”の切手のうち、”将来の通信の象徴”として電波塔と郵便旗に燕を描いた1円切手です。

 1946年はわが国の近代郵便創業から75周年にあたっていました。したがって、本来であれば、創業の記念日にあたる4月20日 を中心に、盛大な記念行事が開催されていたことでしょう。

 もっとも、この年の4月は、まだ終戦から日も浅く、逓信院は戦後の新体制の構築や戦災復興に追われており 、実際には、とても記念行事を行えるような状況ではありませんでした。しかし、その一方で、逓信院の内部では、戦後の事業再建に国民の理解と協力を求めるためにも、なんらかのかたちで創業75周年の記念行事を行うべきとの意見も根強かったようです。

 こうしたことから、郵便創業75周年の記念事業としては、当初、内々に記念出版や記念キャンペーンの実施なども検討されていました。しかし、いずれも準備期間や資材の関係から無理と判断され、結局、消去法の選択により、記念展覧会の開催くらいしか実現できないだろうということで部内の意見は集約されます。

 展覧会の開催ということになれば、まず、問題となるのが会場の確保です。身内の逓信博物館を利用するのは当然としても、一般国民に対するアピールという点からすると、より、集客力の高い会場を選ばねば、展覧会を開催する意義は半減してしまいます。そこで、東京・日本橋の三越百貨店に白羽の矢が立てられ、日程の調整の結果、年末の12月12日から21日までの10日間という会期が決定されました。

 こうして、記念展覧会(正式名称は「郵便創始七十五周年記念逓信文化展覧会」)の実施計画の概要が固まったのが1946年6月のことで、すでに実質的な準備期間は半年しか残されていませんでした。

 このため、当初、展覧会に合わせて記念切手を発行することは想定されていませんでしたが、準備が進むにつれ、7月1日に逓信省が復活したこともあり、展覧会を全国的なものとして後世に残したいとの声が関係者の間でも強まり、8月6日、展覧会初日の12月12日に記念切手を発行することが正式に採決されました。

 当時、逓信省郵務局の現場では、記念切手の発行が正式に決定されたとき、封書用(30銭)と葉書用(15銭)の2種類を用意するといった漠然とした案しかなく、具体的な図案のイメージなどは何もなかったようです。

 このため、木村勝によれば、準備期間が短いこともあり、記念切手も記念銘などを加刷した簡単なもので済ませることも検討されましたが、印刷局との打ち合わせの過程で、せっかくなら凹版印刷の凝ったものを発行すべきではないかとの意見が強くなり、木村みずからが筆を執って凹版切手用の下図の作成されました。

 図案の候補として木村がまず思い描いたのは、日本最初の龍切手を再現することで、木村の下図を元に、加曾利鼎造が龍切手を再現した15銭切手の原画を作成しました。一方、封書用の30銭切手に関しては、郵便創業の功労者・前島密の功績をたたえるものとして、当時、逓信博物館の前にあった彼の銅像が題材として取り上げられています。

 こうして、2種類の切手の制作が進められていたところ、8月下旬になって、郵務局の事務方は突如、現場の制作サイドに対して、「(戦後最初の記念切手が)2種類だけではさびしいし、高額のものも欲しい」との理由で、書留用の1円切手を加えるよう、木村らに要求します。このため、急遽、1円切手の図案が作成されることになり、新時代の通信を表現するものとして、東京工芸学校図案科を卒業して逓信省に入ったばかりの新人・久野実が9月6日までに原図を完成させます。

 ところが、9月中旬になって、さらにもう1種類、記念切手が追加されることになりました。これは、9月10日に外国郵便が再開されたため、その葉書用の額面として50銭切手の追加が求められたためです。(なお、外信の封書料金は1円でしたので、こちらは、先に用意されていたもので充当されることになりました)

 結局、9月13日になって、50銭切手の追加が決定されましたが、もはや、新たな図案を作成していては12月の展覧会に切手発行を間に合わせることは不可能でした。このため、部内での検討の結果、戦前の楠公葉書に代わる“平和図案”の葉書を発行するために準備していた原図のうち、不採用のままお蔵入りとなっていた原図の中から、菊と駅鈴を描くものに記念銘などの文字を加えて(この文字は加曾利鼎造が担当)15銭切手の図案として流用することとしました。

 新たに加えられた菊と駅鈴のデザインが、50銭切手ではなく、15銭切手の原図とされたのは、すでに原図の下部中央に葉書用の額面として“15”の文字が入っていたためで、制作期間の短縮を考えての措置でした。そもそも、このデザインは、もともと、葉書の印面用として、凸版印刷されることを想定して日置勝俊が作成したため、木版の雰囲気を漂わせており、それゆえ、凹版印刷に適した図案とはいいがたい面もありましたが、ことここにいたっては、12月12日の発行期日に間に合わせるということが最優先されたのです。なお、15銭切手が菊と駅例の図案となったことに伴い、当初、15銭切手として予定されていた龍切手を描くものは、50銭切手の図案として流用されることになりました。

 こうしたドタバタの末に、1946年12月12日、戦後最初の記念切手として“郵便創始75周年”の記念切手が発行され、戦後日本の記念切手の歴史がスタートすることになります。なお、このあたりの事情などにつきましては、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』でもまとめてありますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。
 

★ 放送出演・講演・講座などのご案内★

 11月29日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。

 武蔵野大学のWeb講座 2021年12月1日~2022年2月8日
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編その1 ― 黒船来航」

 12月1日から2月8日まで、計7.5時間(30分×15回)の講座です、お申し込みなどの詳細は、こちらをご覧ください。

 三鷹市生涯学習センター 「宗教と国際政治」 2022年1月10~23日
 国際紛争や諸外国のタイムリーな重大ニュースを取り上げ、その背後にある「宗教」をめぐる諸問題をじっくり解説する講座です。今回は、混迷続くアフガニスタンとその歴史に焦点を当ててお話します。お申し込みは12月11日(土)までで、ご応募多数の場合は抽選になります。詳細はこちらをご覧ください。


★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 11月20日刊行! ★

      切手でたどる郵便創業150年の歴史②表紙 2530円(本体2300円+税)

 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 


 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★

 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。

 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。

 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。
スポンサーサイト




別窓 | 日本:昭和・1945~1952 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< HAPPY HANUKKAH! | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  南アで新変異株>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/