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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 3000万円で姫路城の主に
2021-12-04 Sat 03:05
 姫路市は、きのう(3日)、姫路城の“城主”体験を返礼品とするふるさと納税(寄附額は3000万円以上・先着順2名まで)の募集を開始しました。“城主”の送迎は専用ヘリとハイヤーで行われ、一般公開が終わる午後5時以降、甲冑姿の“家来”が城を守る実演を見学したり、専門家の解説で非公開の場所を含めて城内を回ったりするほか、江戸時代の城主の食事を現代風に再現したメニューが供され、姫路城永久入城の権利が贈呈されるそうです。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      第一次国宝・姫路城

 これは、1969年7月21日に発行された(第1次)国宝シリーズ第6集(安土・桃山時代)のうち、姫路城を取り上げた切手です。

 1601年、関ケ原の戦いで勝利を収めた徳川家康は、大阪城の豊臣秀頼と西国の諸大名との間に物理的にも楔を打ち込むため、大阪城の背後にあたる姫路の地に大規模な城を築くことを決定。娘婿(督姫の夫)のおける池田三左衛門輝政をこの地に配し、備前・淡路とあわせて87万石(実際は97万8000石と推定されています)を与え、8年の歳月をかけ5層7階の大天守を持つ大城郭を築かせました。

 さらに池田輝政の後にこの地に封じられた本多忠政は、息子の忠刻の妻として千姫(徳川秀忠の長女)を迎え、“化粧櫓”や“西の丸”一帯を築き、1618年、現在の姫路城が完成。その後も、幕府にとって姫路(播磨)は、西国諸大名をおさえる重要な拠点だったため、 譜代の大名が配置され、跡継ぎが幼少・病弱な場合には、容赦なく国替が行われたことから、城主も松平氏、榊原氏、酒井氏とめまぐるしく変化しました。

 明治維新後の1869年、藩籍奉還により、姫路城は兵部省の管轄となり、1872年には陸軍省に引き継がれます。陸軍省は、翌1873年、全国の城郭の存廃を検討し一旦は姫路城を残しましたが、修理費用が捻出できなかったことから、城を競売にかけてしまいました。そして、瓦を再使用するつもりだった神戸清一郎が23円50銭でこれを落札しましたが、落札後、瓦が一般家屋には大きすぎて使えないことがわかると、神戸は城の購入件を放棄。姫路城はふたたび陸軍省の管理下に置かれました。

 このため、1874年、陸軍省は、城内三の丸広場に歩兵十連隊を設置。一部の櫓や門などを取り壊し、大天守なども取り壊すことを決定。しかし、陸軍省第4局長代理中村重遠(階級は大佐)は、貴重な名城は後世に伝えるべきと考え、1878年、陸軍卿・山県有朋に姫路城の存続を直訴したため、1879年1月、ようやく、姫路城の保存が正式に決定されました。

 さて、第1次国宝シリーズの当初の発行計画では、第5集の“室町時代”の次は、第6集の“江戸時代”を発行して完結する予定でした。しかし、1968年11月の内閣改造で、兵庫県を地盤とする河本敏夫が郵政大臣に就任すると、急遽、第6集として“安土・桃山時代”が割り込み発行されることが決定されます。はたして、“安土・桃山時代”の題材には、河本の地元選挙区のシンボルである姫路城が取り上げられていたことから、今回の切手発行はいわゆる“大臣切手”にあたるのではないかという批判が寄せられました。ちなみに、今回の切手の原画は、河本の大臣就任から1ヶ月以内に増井国夫の撮影した写真を元に、大塚均が構成しています。

 なお、昭和30-40年代を中心に発行された大臣切手については、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。


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 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。

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