内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 中国的小美人魚
2007-03-10 Sat 00:31
 能楽師・観世流の中所宜夫さんがアンデルセン童話「ある母親の物語」をもとに現代語で書き下ろした能楽劇「命の花」が今日(3月10日)、東京・新宿区の矢来能楽堂で演じられるのだそうです。能についての知識がまったくない僕は、アンデルセンと能という組み合わせに戸惑うばかりですが、まぁ、東西文化融合の試みとしては、きっと意義のあることなのでしょう。

 で、土着化というか現地化というか、世界各地でその土地なりにアレンジされたアンデルセンということで思い出したのがこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

香港・人魚姫

 これは、2005年3月、中国香港(以下、香港)が発行した「アンデルセン生誕200年」の記念切手の1枚で、『人魚姫』(切手上の表記は、中国語風に“小美人魚”となっています)を取り上げたものです。中国の伝統的な切り絵風のデザインが、なんとも印象的な1枚です。

 以前の記事でも書きましたが、アンデルセンの生誕200年に関しては、中国が6月1日から浙江省・杭州市で開催した“第1回中国国際アニメ・マンガフィスティバル”にあわせて、自国アニメの“商品見本”として記念切手を発行しています。こちらの場合は、海外のマーケットを意識して欧米や日本風のデザイン(平たく言えば、あんまり中国っぽくないデザイン)が採用されています。

 これに対して、香港の切手は思いっきり中国テイストあふれるデザインです。人魚姫を中国風に再現することの是非はともかくとして、こうした切手が発行されるということは、それじたい、香港の“中国化”が着々と進展していることを見せ付けられているかのようにな感じるのは僕だけではないでしょう。

 いまさらいうまでもないことですが、返還後の香港は“中国化”が急速に進んでおり、かつての英領時代の痕跡は急速に失われつつあります。もちろん、イギリス時代の香港が理想郷だったというつもりはないのですが、大陸の共産党政権がどうしても好きになれない僕としては、かつての香港には確実にあった“コロニアル”のよさが日に日に失われていくのは、なんとも淋しい思いがしてしまいます。(こういうことを書くと怒る人がいるんだろうなぁ。きっと)

 現在、10年前に出した『切手が語る香港の歴史』の全面リニューアル版の書籍(たぶん、分量的に前著の倍ぐらいのボリュームになると思います)を作っているのですが、かつての古きよき英領香港の残り香のようなものをどれだけ再現できるか、それが勝負の分かれ目だろうなと自分なりに考えている今日この頃です。
スポンサーサイト

別窓 | 中国香港:1997~ | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 沖縄への経済効果 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  サヨナラ「ほのぼの君」 >>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/