内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 中共の松明
2007-05-09 Wed 01:41
 台湾オリンピック委員会が2008年の北京五輪の聖火リレーの台湾通過を拒否した件で、世論調査の結果、“聖火の台湾通過によって台湾の主権が矮小化されるとしたら”という条件付ながら、聖火を受け入れるべきではないとの回答が6割を越えたそうです。というわけで、今日はこんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

山東解放区

 これは、日中戦争下、山東抗日根拠地(山東省の中国共産党支配地域)で発行された切手で、抗日戦争のシンボルとしての松明が描かれています。

 山東抗日根拠地では、1942年7月以降、この地域の郵便を管轄していた山東戦時郵政総局(戦郵総局)が石版印刷の切手5種類を発行し、使用しています。切手の額面は、当時、山東省を中心に流通していた北海幣(1941年4月に設立した北海銀行券)でしたが、重慶国民政府の法幣も北海幣に対して1割引のレートで切手を購入することができました。

 当初、これらの切手には“総局之章”の小印が押されることになっていましたが、戦時ゆえ、末端ではさまざまな混乱がありました。特に、同じ山東省内でも、地域によって北海幣と法幣の交換レートに大きな差が生じるようになったことから、1943年7月、北海幣に“膠東”、“渤海”の文字を加刷してそれぞれの使用地域が限定されるようになると、切手にも、それに対応して“膠東”、“渤海”の文字がそれぞれの地域で加刷されることになりました。なお、こうした地名加刷の切手は、加刷文字が読みづらくなることを避けるため、“総局之章”の印は押されていません。

 今回ご紹介の切手は、そのうちの“膠東”の文字が加刷されたモノで、額面の5分は1944年8月までの書状基本料金に相当しています。加刷の文字がつぶれていて読みにくいのが難点ですが、まぁ、勘弁してください。

 2008年のオリンピックの聖火リレーに関しては、聖火のチベット通貨が計画されるなど、中国政府はこれをプロパガンダ政策の一環として最大限に活用しようとしているわけで、当然、なんらかの形で記念切手が発行される可能性は高いと思います。僕は、現在の中国政府のチベット政策・台湾政策は絶対に支持しませんが、彼らがチベットと聖火の松明をどのように組み合わせて描くだろうかという点には興味を持っています。まぁ、さすがに、抗日ネタも一緒くたにして、チベットの風景を背景に今回の切手を組み合わせたデザインということにはならないと思いますが…。

 【いよいよ明日、飛鳥美人の救出開始】
 明日(5月10日)、劣化の激しい高松塚古墳・西壁壁画“飛鳥美人”の取り外し作業が始まります。この壁画の発見当時の美しい姿を再現した「高松塚保存基金」の切手(1973年3月発行)と、当時の高松塚ブームならびに切手ブームについては、拙著『沖縄・高松塚の時代』をご覧ください。
スポンサーサイト

別窓 | 中共解放区 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
<< 英雄/テロリスト図鑑:カスパロフ | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  フランスの初代大統領>>
この記事のコメント
#620 松明の意味は
「日本侵略者」からの解放でしょうか、それとも「帝国主義」、「階級社会」からの解放でしょうか?
 「革命」のシンボルであっても、「個人の自由・解放へ」のシンボルではないのかも知れない、とこの切手を見てふと思いました。
2007-05-09 Wed 18:20 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様

 松明を持つ手というのは力強さを連想させますから、おそらく、抗日戦争そのもののというか、「戦うぞっ」というイメージというか、そういう内容の表現だろうと思います。いずれにせよ、大義の前には個人の自由や家庭の平安が犠牲になっても仕方がない、という発想のデザインですよね。
2007-05-10 Thu 23:00 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/