内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ヨルダン初期のカバー
2007-05-25 Fri 00:36
 今日(5月25日)はヨルダンの独立記念日です。というわけで、こんなモノを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

エル・ホスンのカバー

 これは、1926年6月7日、ヨルダン(当時はトランスヨルダン)北部のエル・ホスンからカイロ宛に差し出されたカバーで、エジプト遠征軍の切手に“東ヨルダン(=トランスヨルダン)”を意味するアラビア語を加刷した切手が貼られています。

 以前の記事でもご紹介しましたが、第一次大戦後の旧オスマン帝国領分割の課程で、イギリスの政治的意図から人工的に創設された国家、トランスヨルダンは、当初、総人口が約40万人しかおらず、自立した独立国の運営をまかなえるだけの資源もなければ産業もありませんでした。このため、1927年にいたるまで正刷切手(オリジナル・デザインの切手)を発行することができず、イギリスのエジプト遠征軍の切手やヒジャーズ(アラビア半島北西部、紅海沿岸に樹立された国家)の切手に“東アラブ政府”または“東ヨルダン”といった文字を加刷した暫定的な切手が用いられていました。

 今回ご紹介しているカバーはその実例というわけですが、なにせ人口40万の小国ですから、実際に郵便に使われたカバーで気の利いたものはなかなかありません。特に、首都のアンマン以外の消印が押されたカバーは数が少ないので、入手には苦労させられます。というわけで、このカバーは僕のお気に入りの1枚です。

 なお、第一次大戦後、旧オスマン帝国領が分割されて、現在の“中東”の枠組ができあがっていく過程については、以前、『中東の誕生』という本でまとめてみたことがあるのですが、このカバーを含めて、その後いろいろとマテリアルも増えましたからねぇ。いずれ、改訂版を作れれば良いな、と考えている今日この頃です。
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この記事のコメント
#665 新国家、間に合わせの切手
 たった40万の人為的国家となると、「降って湧いたような国家建設」になるわけですから、切手も満足に出来ないのは当然ですね。しかし、沖縄切手の「久米島切手」、解放直後「南朝鮮」での昭和切手への加刷等のような、臨時的な独自切手があらわれたりします。
 郵政事業が安定化するまでのプロセスの切手は、色々なタイプが出ますので面白いですね。
2007-05-25 Fri 20:35 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様
>> 解放直後「南朝鮮」での昭和切手への加刷等のような、臨時的な独自切手
 アメリカ軍政下の南朝鮮でのハングル加刷切手の良いカバーがほしいなぁとずっと思い続けているのですが、なかなかご縁がありません。もっと市場に出てきていいような気がするんですが…。やっぱり、朝鮮戦争で焼けちゃったんですかねぇ。
2007-05-26 Sat 08:12 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
アメリカ軍政下の南朝鮮でのハングル加刷切手の良いカバーがほしいなぁとずっと思い続けているのですが、なかなかご縁がありません。もっと市場に出てきていいような気がするんですが…。やっぱり、朝鮮戦争で焼けちゃったんですかねぇ。

現地切手店・オークションでもないんでしょうか?
2007-05-26 Sat 22:29 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様

 フィラテリックなものならあるんですが・・・。きちんとした実逓となると、なかなかないですねぇ。
2007-05-29 Tue 10:19 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
がWeb上に出ていました。
 韓国のHPですが、切手コレクションのアーカイブがあります。ハングルでわかりにくいと思うのですが、その中のこのページ(http://www.kstamp.go.kr/sp/ce/spce0314.jsp?expoGubun=global_post&expo_idx=16)の一番下のタイトル右端の青いところを押すとコレクションが見られます。アルバムの解説は英語で、国際切手展「ワシントン2006」に出品されたものです。
 残念ながら、南朝鮮のハングル加刷はありませんでした。大変な貴重品なのかもしれません。
2007-06-03 Sun 08:44 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様

 ご紹介いただいた作品は、昨年、ワシントンの会場で実物を見ましたが、強く印象に残っています。それがまた、いつでもウェブで見られるようになったのは嬉しいですね。
2007-06-04 Mon 23:22 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
がありましたので、ご紹介します。
http://myhome.naver.com/stamps/covers/cov46001.htm
 尚使用期間はたった3ヶ月の間で、カバーは現在まで10通余り(このHPが作られた2000年頃まで)しか見つかっていないとのことです。
2007-06-16 Sat 17:10 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
のカバーがありましたので、ご紹介します。
http://myhome.naver.com/stamps/fdcs/fdc46003.htm
記念に作ったようですが、興味を引く、良いカバーだと私は思います。
2007-06-17 Sun 16:33 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様
 いろいろ情報ありがとうございます。

 やっぱり、めぼしいものは朝鮮戦争でやられちゃったんでしょうかねぇ。どうせなら、全て焼けてしまっていれば諦めもつくのですが、何通か存在してしまうだけに、入手できないストレスが溜まります。
2007-06-19 Tue 22:34 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
確かに、ハングル加刷切手の実逓使用の入手は、さすがに現時点では諦めるしかないのかもしれません。ただ初日カバーはそこそこあるようですから、それを入手するよう努力するのが次善策出はないでしょうか?ただ中には後押しカバーといった怪しげなものもありますが。先月ハングル加刷切手の初日カバーを入手したので、いつの日にか展示しようと思っています。
2007-06-20 Wed 00:27 | URL | 大津太孝 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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