内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アラブの都市の物語:ヌアクショット
2007-07-18 Wed 09:19
 NHKのアラビア語会話のテキスト8・9月号が出来上がってきました。僕の担当している連載「切手に見るアラブの都市の物語」では、今回は、アラブ連盟加盟国で一番西側の国・モーリタニアの首都、ヌアクショットを取り上げました。その記事に使ったものの中から、今日は、こんなモノをお見せしましょう。(画像はクリックで拡大されます)

ヌアクショット

 これは、1962年に発行された国連加盟の記念切手で、国連本部のあるニューヨークとヌアクショットの風景が対比して描かれています。

 15世紀以降、ポルトガルやスペイン、オランダなどの西洋人が交易を求めてモーリタニア沿岸に姿を現すようになりましたが、17世紀以降はサンルイ(現セネガル)に基地を確保したフランスが影響力を拡大。19世紀末から20世紀初頭にかけての征服戦争を経て、1904年、モーリタニアは“民政区”としてフランス領西アフリカ(1895年設立)されました。

 第2次大戦末期の1944年、植民地各国の独立運動が高揚する中で、フランスはフランス領コンゴでブラザヴィル会議を開催し、植民地の自治を拡大することを決定。これに伴い、戦後制定されたフランス第4共和制憲法で、フランス領西アフリカはフランス連合を構成する海外領土となり、モーリタニアにも地方議会が置かれ、フランス本国に代表を送るための選挙が1946年に実施されました。

 その後、アルジェリア情勢が緊迫する中で、フランス植民地の自治拡大は急速に進み、1956年6月の基本法でフランス人の高等弁務官を首相とし、アフリカ系を副首相とする行政府が組織され、弁護士のムフタール・ワルド・ダッダーが初代のモーリタニア副首相に就任しました。

 翌1957年、新政府は将来の独立を見据えて、それまでのフランス支配の拠点だったサンルイに代えて、大西洋岸の漁港だったヌアクショットを新首都に指定。1万5000人を目標に人口を増やすとともに、本格的な都市建設が開始されます。

 1958年の国民投票により、モーリタニアはフランスからの完全独立はせず、セネガルなどのアフリカ諸国とともにフランス共同体内の共和国として残留することを選択。これに伴い、同年10月、モーリタニア・イスラム共和国(al-Jumhuriyah al-Islamiyah al-Mauritaniyah)が発足します。しかし、その後、フランス共同体の解体は急速に進み、1960年夏には旧フランス領アフリカ諸国の大半が独立。同年11月28日には、モーリタニアも独立を宣言することになり、ヌアクショットは新生国家の首都となりました。

 今回ご紹介の切手には、その当時の首都の遠景が取り上げられているわけですが、なにぶんにも、本格的な都市建設が開始されてから日が浅い時代のことですから、インフラ整備はほとんど整っていません。第1回の国会はテントのような建物の中で行われたともいわれていますが、切手の画面奥に描かれているのがそうなのかもしれません。

 ちなみに、1990年代までのヌアクショットは一国の首都としてはのんびりとした田舎町の雰囲気が色濃く残っていましたが、都市開発が進むにつれ、周辺から職を求めて流入する人口が急増。くわえて、近年は沖合いで石油と天然ガスが見つかったこともあって、1969年に2万人だった人口は2000年には50万人を突破し、サハラ地域では最大の都市になりました。

 今回の「切手に見るアラブの都市の物語」では、日本ではあまり語られることのないヌアクショットとモーリタニアの歴史について、簡単にではありますがご紹介しています。ご興味をお持ちの方は、是非、現在発売中のNHKアラビア語会話のテキストをお手にとってご覧いただけると幸いです。
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この記事のコメント
#826 人口都市の形成
 人口都市の場合、都市形成が急激に行われる場合が多いですが、このヌアクショットも極端な都市化の進んだケースですね。
 こうした都市は、いくつか切手に取り上げられていますが、計画進行中のものとしては韓国の行政新都市の切手がこの間発行されています。これは、ソウル市に全国の1/5から1/4も集中している現状からの政策ですが、人口都市はとかく無味乾燥になったり、インフラが間に合わなくなるようですので、今後の展開は未知数でしょう。 
2007-07-18 Wed 18:30 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様

 都市としてのソウルの変遷は、いずれ、取り上げてみたいテーマの一つです。結構、マテリアルもありそうですしね。
2007-07-20 Fri 23:56 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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