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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ベルギーの南極基地
2007-09-06 Thu 12:55
 昨日(5日)、ベルギーが40年ぶりに建設する南極基地がブリュッセル市内で公開されました。新しい基地は真上から見るとほぼ8角形で、全エネルギーを太陽と風力で賄う世界初の“ゼロエミッション(廃棄物排出量ゼロ)”基地なのだそうです。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

ベルギー・南極の犬

 これは、1957年から1958年の南極観測隊派遣に際して発行された寄付金つき切手の小型シートで、ベルギー最初の南極基地(おそらく、イメージ図でしょう)を背景に犬ぞりの犬が描かれています。

 ベルギーと南極の関係としては、1897年にベルギー人のアドリアン・ド・ジェルラシによって多国籍の探検隊がアントワープで結成され、彼らの探検船ベルジカ(BELGICA)が、1898年2月28日から1899年3月14日まで越冬したことにさかのぼります。

 こうした伝統もあって、1957年7月1日から翌1958年年12月31日までの“国際地球観測年”に際しては、各国と並んで、ベルギーも南極に観測隊を派遣。その資金を得るため、1957年10月18日に発行されたのが今回の切手というわけです。

 ところで、ベルギーの南極基地は、日本の昭和基地とロシアの基地の間に設置されており、日本にとっては、約700キロ離れた“お隣さん”になります。このため、こんなエピソードも残されています。

 1937年、ノルエー隊が作った南極の地図には、南緯71度、東経36度あたりに“多くの氷をかぶらない山々ある”の記録があり、この山脈は一般に“1937年山脈”と名づけられていました。

 1960年10月、日本隊とベルギー隊は、この山脈に名前をつけようと調査・観測活動にしのぎを削っていました。先にこの山脈を測量・調査していたのは日本側で、彼らはここを“やまと山脈”と命名するつもりでした。ところが、公式の手続きという点では、ベルギー隊が日本に先んじて、ここを“クイーンファビオラ山脈”と命名してしまいます。

 ところで、このときの観測・測量作業中、ベルギー隊のデブロイク(地質学者)が遭難。このため、日本隊のメンバーは彼の救助に乗り出しました。ところが、デブロイク救出のために日本隊の隊員の大半が出払っているときに、日本隊の福島隊員が遭難。このため、デブロイクが自力でベルギー基地に帰還できたものの、日本隊は福島を捜索できず、福島は行方不明のまま殉職ということになりました。

 こうしたことから、ベルギー隊も日本に対する負い目があり、双方の協議の結果、①山脈の名前は“クイーンファビオラ山脈”と“やまと山脈”を併記する、②山脈D群の最高峰を“福島岳”とする、③山脈のそれぞれのピークの名前については、福島岳以外はA、B、C、D、E、F、G山群という仮称のままにする、ということで決着が図られました。ちなみに、アメリカ地理学協会の南極地形図(500万分の1)では、これをふまえて、“クイーンファビオラ山脈(やまと山脈)”と記載されています。
 
 まぁ、領有権が直接絡まない南極ならではの出来事だったと言ってしまえばそれまでですが、“日本海”の名称に難癖をつけているどこかの国の人たちにも、ぜひとも知っていただきたいエピソードです。
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この記事のコメント
ですね。有名なタローとジローもこんな表情だったのではないかと感じました。凹版印刷の技術が発揮された切手です。

  「クイーンファビオラ山脈(やまと山脈)」は、新大陸で活動する者達の共通の「思い」が生きた命名だと思います。地名は、たいてい発見者の順に命名され、「先住民」が使っていた地名が無視されたり、元々境界が未確定で済んでいたところに「領有権」の主張が入ったため、双方とも古文書を山ほど積んでの主張争いの中でクローズアップされたりしています。両方とも「主張争い」で意地にならず、一歩譲ったかたちで円満に解決できたらよいのですけどね。
2007-09-20 Thu 07:39 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様
 南極関連の切手は綺麗なのが多いので、単純に見ていた楽しいですね。こういう切手をどんどん見せてあげれば、改めて切手に興味を持つ人も増えるんじゃないかと思います。
2007-09-21 Fri 00:28 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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