内藤陽介 Yosuke NAITO
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 マダガスカルの検閲カバー
2007-10-06 Sat 09:26
 人を笑わせ、考えさせて科学への興味を誘う研究などに毎年贈られる“イグ・ノーベル賞”の化学賞を、日本人研究者の山本麻由さんが受賞したそうです。受賞対象となったのは、ウシの排泄物からバニラの香り成分、バニリンを抽出した研究なんだとか。まぁ、素直に凄いとは思いますが、僕はやっぱり天然モノのバニラを味わいたいですね。

 さて、バニラといえば、やはりマダガスカル(世界の生産量の70%のシェアを占めています)。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

マダガスカル・検閲カバー

 これは、第二次大戦中の1942年12月、イギリス占領下にあったマダガスカルの首都、タナナリブ(現アンタナナリボ)から島内のディエゴ・スアレズ宛に差し出されたカバーで、イギリス軍による開封・検閲が行われています。

 1940年6月、フランス本国がドイツに降伏すると、各地の仏領植民地は、本国の親独ヴィシー政府に対する支持派と徹底抗戦派に分裂しますが、マダガスカルは本国支持を表明しました。

 ドイツ軍がヨーロッパの大半を制圧する状況下で、連合国側は地中海からスエズ運河を経てインドへいたるルートを取ることができず、喜望峰からマダガスカルを経てインド洋へ抜けるルートを採るしかありませんでした。しかし、1941年12月に太平洋戦争が勃発し、日本軍が東南アジアを占領すると、日本軍がインド洋を西進してマダガスカルに上陸し、そこを基地として潜水艦攻撃を仕掛けてくる可能性が懸念されるようになりました。

 このため、1942年5月5日、イギリスを中心とする連合国部隊はマダガスカル島への上陸作戦を敢行。抵抗するヴィシー・フランス軍を援護するため、日本海軍の潜水艦も派遣され、同年11月5日にヴィシー・フランス側が降伏し連合国が全島の占領を完結するまで、断続的に戦闘が行われました。

 今回ご紹介のカバーは、連合国がマダガスカル全島を占領した後の12月のもので、検閲テープにしっかりと“BRITISH CENSORSHIP”の文字が入っているのが良い感じです。

 競争展に出品するテーマティク・コレクションの要諦は、地理的・時代的にできるだけ広い範囲から、可能な限り多様なマテリアルを集めてくることにあります。僕のメイン・コレクションは“昭和の戦争”を扱ったものだけに、どうしてもマテリアルが日本を中心として東アジア地域のモノに偏らざるを得ないのですが、それでも、とりあえずこのカバーが入っていることで、アフリカのマテリアルへも目配りをしたという格好だけはつきました。とはいえ、展示用に使えそうなアフリカがらみのマテリアルは現在のところ、この1点しか手持ちのコマがありませんから、次の国際展に出品するとき(何年後になるかわかりませんが)までには、もう1~2点、何か探してこないといけませんね。
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この記事のコメント
#1029 戦時カバー独特の生ましさ
が、このカバー内の検閲済みテープから感じられます。
 今日ご紹介の枢軸国寄りフランス・ヴィシー政府対連合国戦「マダガスカルの戦い」は、枢軸国として、日本海軍潜水艦も参加しています。
 戦時中日本の一般向け戦況地図で、このことが紹介されていましたが、余り歴史書に記されていないため「何が起こっていたのか」長い間の疑問でした。今回のご紹介で、WEB上で調べることが出来、やっと長年の疑問が氷解して良かったです。

 それにしても、「イグ・ノーベル賞」はノーベル賞のパロディーだけあって、なかなか色んな研究に目の利く企画だと思います。ただ、貰う方も「シャレ」が分かっていなければ貰えないと思いますが。
2007-10-07 Sun 06:59 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様
 ノーベル賞を紹介する切手は数多ありますが、イグ・ノーベル賞を紹介する切手もそろそろ出てきていいんじゃないでしょうかねぇ。たとえば、カラオケの発明なんて、日本が世界に誇る文化的業績だと思うんですが・・・。
2007-10-11 Thu 00:35 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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