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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 英雄/テロリスト図鑑:ゲバラ
2007-10-10 Wed 11:03
 キューバ革命で活躍したチェ・ゲバラ(本名はエルネスト・ゲバラ)が亡くなって、昨日(9日)でちょうど40年だそうです。というわけで、現在発売中の『SAPIO』10月24日号の僕の連載、「世界の『英雄/テロリスト』裏表切手大図鑑」では、ゲバラを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      キューバ・英雄的ゲリラ(1968)

 ゲバラは、1928年6月14日、アルゼンチン第2の都市、ロサリオの裕福な家庭に生まれました。少年の頃、近所の工場でストライキがあったとき、工場側が雇ったスト破りの男たちに対して、仲間とともにパチンコで攻撃したというエピソードは、まさに、「栴檀は双葉より・・・」といった感じです。

 もともと、放浪癖があったせいか、ブエノスアイレス大学医学部に在学中、高校時代からの友人、アルベルト・グラナードと2人でいきなりオートバイでアメリカ大陸縦断の旅に出てしまいます。途中、ハンセン氏病の医師であるかのように振舞って宿と食事、旅費をくすねたり、密航がばれて船員の仕事をすることで勘弁してもらったり、その冒険譚はそれなりに面白いのですが、同時に、中南米諸国の絶望的な貧富の格差やアメリカによる経済支配の実態などを目の当たりにして、社会変革の必要を痛感したといわれています。

 1953年に大学を卒業した後、軍医として徴用されることを嫌った彼は出国し、ボリビアを皮切りにペルー、エクアドル、グアテマラなどを経てメキシコにいたり、1955年6月、そこで亡命キューバ人のフィデル・カストロと出会い、キューバ革命に向けて邁進することになります。

 ところで、ゲバラは生まれつき喘息持ちでしたが、山中でのゲリラ戦を通じて“虫除け”の必要から葉巻を吸う習慣が身についたといわれています。また、ゲバラのみならず、カストロらのゲリラ兵たちがそろってあごひげを蓄えているのも、やはり、山中での生活に由来しているとのことです。なお、ゲリラ時代の体験をもとにゲバラが書いた『ゲリラ戦争』は実戦的なゲリラのマニュアルとして評価が高く、現在でもテロリストの必読書といわれています。

 1959年の革命後、革命政府の元勲となったゲバラは、当初、米国という共通の敵と対峙するソ連との関係強化を唱えていましたが、キューバ危機でのソ連の“裏切り”に憤激。ソ連への批判を強め、ソ連への依存を強めていったカストロ政権から離れていきました。

 そして、およそ1年間、アフリカのコンゴで軍事政権に対抗する左翼反乱軍に参加した後、“世界革命”の理想を抱えて、1966年11月、ボリビアに潜入。革命に向けてのゲリラ活動を展開しました。しかし、先住民族が多数派を占めるボリビアでは、ゲバラらの左翼ゲリラは余計なことをする“よそ者”という見方が強く、勢力を拡大できないまま、1967年10月8日、ゲバラはボリビア政府軍に逮捕され、翌日、銃殺されました。なお、当時は危険きわまりない反政府ゲリラ、テロリストとしてゲバラを逮捕・銃殺したボリビアですが、現在では、全世界の観光客を誘致すべく、ゲバラの足跡をたどるツアーがさかんに売り出されているのは、なんとも皮肉な話です。

 ご紹介している切手は、ゲバラの没後1周年を記念してキューバが発行した追悼切手で、革命後間もない1960年3月15日、アルベルト・コルダが撮影した報道写真が取り上げられています。撮影当初は編集で没になりましたが、1967年にイタリア人ジャーナリストがコルダの許可を得て持ち出し、ゲバラの死後、“GUERRILLERO HEROICO”(ゲリラヒーロー)の名でポスターとして売り出されて有名になりました。その後、世界各地でTシャツなどにも印刷されるようになり、現在では、ゲバラのもっとも有名な写真として定着しています。
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この記事のコメント
#1042
> 『ゲリラ戦争』は実戦的なゲリラのマニュアルとして評価が高く、現在でもテロリストの必読書といわれています。

水をさすようですが、その本、世界中の特殊部隊や工作機関では「トンデモ本」あつかいです。
えげれすのSASやSBSは、第二次大戦やその後の植民地闘争で、独自に戦闘ドクトリン、タクティクス、テクニックを確立してますし、アメの「グリンベレー」などは、兄貴分のSASやSBSに学びつつ、ゲバラよりも毛沢東のほうを教科書として採用しています。

ゲバラを殺害したボリビア軍の部隊には、アメのグリンベレーがアドヴァイザーとして入っていたのは、公然のヒミツ。
2007-10-11 Thu 02:06 | URL | まこり~の #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1043
昔、人に聞かれて、社会主義3大イケメンとして、チェ・ゲバラ、周恩来、レオン・トロツキーを挙げたことがありますが、
前の二者はともかくトロツキーの肖像入りの切手は発行されたことはないですよね。
2007-10-11 Thu 07:20 | URL | muromav #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
#1044 この肖像写真の魅力
 他にも肖像写真や、それを元にした切手は多くあるのに、なぜこれが魅力的なのでしょうか。私は、このゲバラの顔が真正面ではなく、多少上目使いにしているところが、いかにも「理想を求める革命家」らしく見えるからではないかと思います。やはり、革命家の場合「威厳を持たせる」より、この方がより引き立つでしょう。

 muromavさんより「社会主義3大イケメン」の話が出たので、周恩来にまつわるエピソードを思い出しました。フランス留学時まだ若かった彼は、着色した自分の写真絵葉書を3ダース作らせ、それを中国の友人達に送っていたそうです。 さすがに警察にわたれば危険だからやめるよう忠告されたそうですが(ハン・スーイン『長兄ー周恩来の生涯』P55)彼の場合多少自分の魅力に「自覚的」だったかも知れません。
2007-10-11 Thu 22:07 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 皆様、コメントありがとうございます。
・まこり~の様
 『ゲリラ戦争』の評価については、語尾を「~といわれています」と濁したところを汲み取っていただけると幸いです。ちなみに、その昔、日本の公安が「『ゲリラ戦争』は過激派の必読書」といった記述を報告書にしていたような記憶があるのですが、オリジナルを探せませんでした。

・muromav様
 社会主義イケメンといえば、若い頃の金日成もなかなかのものですよ。

・muraki様
 ゲバラの写真の場合は、彼の“若さ”も魅力を増す要因の一つになっているでしょうね。その点、老成して“いい顔”になったホーチミンなんかとは正反対ですが。
2007-10-13 Sat 11:39 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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