FC2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 香港からのエアメール
2007-12-07 Fri 09:42
 今日(12月7日)は、国際民間航空デー 。1944年12月7日に国際民間航空条約(通称シカゴ条約)が結ばれ、国際民間航空機関(ICAO,International Civil Aviation Organization)が組織されたのを記念して、1992年のICAO総会で決められ、1994年から記念行事などが行われているそうです。というわけで、今日はエアメール・ネタということで、こんなモノを持ってきました。

香港発ロンドン宛FFC

 これは、1936年3月26日、香港からペナン経由でロンドンまで全線航空便で送られたエアメールの第1便(FFC)で、封筒にはそのことを示す“FIRST THROUGH FLIGHT”の表示の入った角型の印が押されています。ロンドンの世界的な切手商スタンレー・ギボンズ社宛のもので、販売目的の記念品として作成されたモノですから、封筒の余白には当時の香港島のウォーター・フロントの写真が刷り込まれており、イギリス人のコレクターに対して、極東の植民地からはるばる運ばれてきたエアメールというイメージを与える工夫もなされています。

 香港にやってきた最初の航空郵便は、1928年、コロンボからマニラを経て香港までイギリス空軍が運んだものといわれていますが、一般人も利用できるものとしては、同年11月、ロンドンとマニラを結ぶイギリスの極東飛行の延長線として、マニラから香港まで郵便物が運ばれたのが最初です。

 こうして、香港にもエアメールがやってくるようになりましたが、最初のうちは、定期便はなく、単発のフライトに郵便物が搭載されて香港と世界各地を往来するという状況が続いていました。当時は、飛行機の航続距離が長くはなかったので、アジアとヨーロッパを結ぶ便になると、途中で何ヶ所かを経由するのが一般的でした。

 イギリス本国と植民地・香港とを結ぶ航空路線を開発した航空会社はインペリアル・エアウェイズですが、同社は1924年3月31日に設立され、翌4月1日にロンドン=パリ線の運航を開始。これを皮切りに、ロンドン南郊のクロイドン空港を拠点に、当初はヨーロッパ各地への路線を拡大していました。アジア・アフリカ地域での営業については、1925年9月末までに行われたカイロ=カラチ間の航路の調査の結果を踏まえて、まず、1927年1月にカイロ=バスラ(イラク)線が開通。この路線を延伸するかたちで、1929年3月30日までに、ロンドン=カラチ線が開通します。

 その後、1931年になると、ロンドン=オーストラリア間のエアメールの取り扱いが試験的に始まります。このときのエアメールは、オランダ領東インド(現インドネシア)まで運ばれた後、小型の飛行機に積み替えてオーストラリアまで運ぶというもので、ロンドン=シドニー間の所要日数はおおむね26日間でした。

 ロンドン=オーストラリアのエアメールが成功すると、1933年末にはロンドン=シンガポール線でのエアメールの取り扱いが始まり、1934年末にはシンガポール=ブリスベン(オーストラリア)線でのエアメールの取り扱いも開始されます。これに伴い、香港からは、シンガポールまでは船便、シンガポール以遠はエアメールという郵便物を差し出すことができるようになりました。

 そして、1936年3月14日、オーストラリア=ペナン(現マレーシア)線の支線としてペナン=香港線が開通。これにより、それまでシンガポールまでは海路で運ばれていた香港からロンドン宛のエアメールは、ペナン経由でロンドンまで全線、航空便で送ることが可能となりました。また、これと時を同じくして、ペナン以遠、アフリカ方面への航空便も全線開通となり、香港もようやく本格的なエアメール時代に突入していきます。

 今年7月に刊行した拙著『香港歴史漫郵記』では、当初、香港のエアメールに関する1章を設ける予定だったのですが、紙幅の関係から該当部分は割愛せざるを得なくなりました。今回は、年末の在庫整理といった感じで、そのお蔵入りになった原稿の一部を掲載してみたという次第です。

 それにしても、昨日のニュースによると、年末年始(12月21日~1月7日)に成田空港から出入国する旅客が、前年同期を0.7%上回り、過去最高の約140万人になる見込みだとか。このブログの読者の方々の中にも、年末年始は海外でという方も多いと思いますが、香港へお出かけの方は『香港歴史漫郵記』を、タイへお出かけの方は『タイ三都周郵記』を、ぜひとも、旅のお供に連れて行ってくださると幸いです。
スポンサーサイト

別窓 | 香港:~1941 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 開戦で届かず | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  日本から国王陛下宛>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/